それは、
本当に何でもない、あふれるほど平凡なとある日の晩の会話。







**すきありっ!!**







暑いですねえ。
そーですねィ。

日の暮れた夏の夜を歩く二人組の影。
今夜はまん丸の月がきれいだ。だから、夜なのに二人の足元にはくっきり綺麗に二つの影ができていた。

こんな暑い中今日も一日お疲れ様でした。
いえいえアンタこそ。あんな暑い中せっせと庭の草むしりごくろーさんで。
そんな、あれくらい・・・・・って、え?見てたんですか?どこから?あの時間完全に仕事時間でしたよね?
縁側の陰でアイス片手に涼みながら眺めてやした。
イヤ仕事は?!


カランコロンと下駄の音。
ぎゃいぎゃいと騒ぎながらも二つの影は仲良く並んで歩いている。
「ちゃんと仕事してくださいよ」
なんて小さな影がたしなめるように言えば、
「まー考えときまさァ」
と大きい方の影がやる気のなさそうな返事を返した。


最近、忙しかったんですか。お仕事?
ん?なんで。
ここ一週間土方さんの部屋にお邪魔してもいないんですよ。いつも書類に追われてるのに。
ふーん。
妙ちゃんからの被害告知もここ数日ないし。今日は別として、最近沖田さんがサボってるとこ見てなかったから。
まー、ここんとこ「護衛」って名目の偉い人の御守りが続いてやしたからねぇ。そりゃ朝から晩まで馬車馬のように働きづめでさァ。

・・・・その割には、毎日ついてきてくれますよね。
・・ありゃ。そいつぁ暗に邪魔って言ってんですかィ。
そんなことは言ってません。沖田さんとお話しできるし、一緒なら恐くないし、とっても感謝してますよ。ただ・・
何でィ。
・・・お疲れのところ無理に連れまわしてたら申し訳ないなと・・・
・・ふーん・・・

ひと段落はしたんですか。
まぁそんなとこですかねぃ。
よかったですね。
そーですねィ。
・・・えと、お疲れ様でした。
・・・ぷっ、そいつぁどーも。


しばらく沈黙がその場を包み、カランコロンと下駄の音だけが辺りに響いた。
そんなに狭い道ではないのだが、人通りはない。はいつもこの道を通るたびに一人じゃなくてよかったと思う。
ちらりと隣をうかがえば、横を歩く男が視線だけこちらによこして首をかしげた。
「どーしやしたか」


・・・しりとりでもしましょうか。
はあ、またイキナリどうして。
何となくですっ。はい、しりとりの「り」から。
話題のねェ女だなァ

良いんですっ。えっと、じゃあ、「りんご」。
「ゴキブリ」。
・・・・・・・。
何ですかィ。
・・・・(いきなりなんつー単語を・・)・・えと、り、り・・・「リス」。
「硯」。
り・・?んーと・・・「理科」。
「かき氷」。
・・・・うーん・・・えっと・・・り・・・「竜」。
「瓜」
ずるい!!
はァ?別にずるくねェでしょう「瓜」くれぇ・・。
むぅぅ・・・り・・り・・「リュックサック」。

「薬」。
「リクルート」。
「徳利」
り、り、「リンゴジュース」!
「推理」
何でいじわるするんですか!!?
何でって、しりとりってそういう遊びじゃねェの。


両手を頭の上に組んで大きい方の影がは呆れたように言う。
その隣で、腕組みする小さな影は悔しそうに頭を捻った。





「沖田さん!やぶれたり!」
「・・・・・どーしやしたか姉さん。長湯のし過ぎでおかしくなっちまいましたか。」

待合室でコーラの缶片手にぼーっとしていると、後ろから不意に声がかかった。
振り向けばほんのりピンクに顔をほてらせた雑用娘の姿。火照っているのは頬だけじゃなく体全体だろう。
もういい年下大人のくせに、悪戯を思いついた子供のように目を輝かせながら見下ろしてくる彼女の髪は、随分急いでいたのだろう、じっとり湿ってぽたぽたと細かいしずくが落ちている。
・・・・・ガキか。
どっこいしょ、と総悟はかけていた席から立ち上がった。そうすれば自然自分より背の低いはそれまでと打って変わって総悟を見上げる形になる。
いいですかぁ、聞いて驚かないでくださいね!
そう目を輝かせるに、伸ばしかけた手を一瞬止めた後、総悟は彼女の首に巻いたタオルを指差した。

「・・・もっとちゃんと拭いた方がいーですぜィ」


「「倫理」って言葉を知ってますか沖田さん!」
ふふふ・・・と勝ち誇った顔でが切りだす。再び月夜の道に二つの影が並んでいた。

「まだ続いてたんですかィ」
「りんり!「り」ですよ沖田さん!どうですか、もうほとんど出ちゃってるでしょ。形勢逆転ですよ」
「「料理」」
「!!!!!」

驚愕して言葉も出ないをしり目に、総悟はくぁ・・と伸びをした。
詰めが甘いにもほどがある。

「り・・・り・・・えっと・・・」
「姉さーん。俺もうなんか待ち時間が多すぎて飽きてきやしたぁ」
「ええっ、じゃぁもうやめますか」
「アンタが考えてる間暇なんで色々悪戯してもいいですかィ」
「えええっ?!」

あせあせと必死に考えるは、はたから見ていて飽きない。
まぁ、ただ、せっかくの邪魔者のいない貴重な時間に、こちらも見ずにもんもんと考えを巡らせているこの状況は些か不服だが。

まあ、それはそれでやりようはいくらでもある。
たとえば。

「えっと、えっと・・・り・・・・あ、「リンス」!」
「「すきあり」」



・・・・・・・



ほっぺたを押さえて、風呂上りの体をさらにほてらせているに、総悟はニヤリと黒い笑みで返した。

「ホレ、「り」ですぜィ。早く答えねぇともう一発くれてやろーかぃ」
「りっ・・・理不尽・・・!!」


はい、アンタの負けー。
しりとり終了!



そんな、夏の夜道のくだらない話。











お疲れ様でした!
一周年フリリク第十弾「銭湯に付添う沖田さんとほんわかまったり」でした!
ちょっと短めですが、二人にとっては何気ない日常の一コマ・・・・的な感じを感じていただけると幸いですもごもご・・。
この二人はいつも適当におしゃべりしながら夜道をお散歩していればいいと思います。
さりげなく大事なところではヘタレな沖田さんはグッとくると思いますw
こんなものでよろしければもらってやってくださいっ。リクエストありがとうございやしたァ!


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