「おすわりっ!お手!お代わり!伏せ!」
「返事!」
「わんっ!」
「きゃぁぁー!定春偉い!」
真っ白な毛玉に抱きつけば、そのままその巨大な毛玉に反対に押し倒される。
ぶんぶんと振られるその大きな尻尾からは扇風機並みの風が起こり、隣のベンチに座る銀髪の男の髪をそよそよと揺らした。
****
むっすぅぅぅ。
面白くない。実に!!的な表情をして、銀時は大きく息を吐いた。
本日は神楽がお友達とお出かけか何やらで銀時と新八で定春の散歩に行くことになり、出かけた先で買い出し帰りのと出くわしたのだ。
もちろんお約束に置いてお約束のごとく、出会った瞬間は地面に押し倒されて埃丸けになった訳だが。
時間もあるし傷む物も買ってないので、と寄った公園で、定春と遊ぶを見てほんわかあったかい気分になっていたと言うのに。
・・・邪魔が入ったのだ。
「酷ぇ顔してますぜ旦那ァ。ま、邪魔で仕方ない気持ちは分かりますがねェ」
「そうだね邪魔だねでもこの場合沖田くん君も邪魔の一人に入ってるんだけどね」
「ええーそりゃァねぇやぁ。んなこと言わずに一緒にあの男抹殺しましょーや」
許可もなくどっかりと銀時の隣に腰を下ろした男が言う。
視線の先には ――――――・・・・が見えない尻尾を嬉しそうに振りながら駆け寄っていった先の煙草の男。
真選組鬼の副長、土方十四朗である。
はぁ、ため息が漏れる。
まったくどうしてこの娘は、この男にだけこんなにも尻尾を振って慕うのか。あんな顔してほほ笑むのか。あんな声で名前を呼ぶのか・・・。
「いいなァテメーんとこの副長はァ」
「ほほう、旦那、あのヤローが羨ましいですかィ」
ひょっこりと銀時の独り言に割って入ってきたのは、これまた真選組のサディスティック一番隊隊長、沖田総悟である。
誤解のないように訂正しておく。一番隊がサディスティックなわけでは決してない。サディスティックなのは彼だけである。
「そうですよねぇ、通りかかっただけでこうもひょいと尻尾向けられちゃァ、うっとおしいですよねぇウザいですよねぇ」
なんてたいして感情もこめないような声でいう総悟に、銀時も平淡とした口調で返す。「うっとおしくてウザいのに君も入ってるけどね沖田君」
俺もあーやって尻尾振ってもらいてーなァ、なんてこぼせば、それを見ていた総悟がふと、どす黒く微笑んだ。
「なァるほど。今日はそんな旦那にぴったりの商品が」
「いらねェよ。何怪しげなモン売ろうとしてんの」
「まぁまぁ話しだけでも聞いてくだせェ。もしかしたら旦那なら使いこなせるかもしれねぇ」
「入れ替われる?」
「そうでさァ」そう言って総悟が取り出したのは、赤い錠剤と青い錠剤が一つずつ入った小さな小瓶だった。
入れ替わりたい人間と同時に一錠ずつ飲めば、時間にして約2時間、相手と姿形が入れ替わることが出来るのだと、目の前の栗色の毛の少年は言う。
嘘くせェ。
しかも、もし本当であるならばなぜこの少年は自分で使わずわざわざ銀時に進めてくるのか。
そんなことを聞けば、総悟はさらりと答えた。「俺ならもう試しやした」
「でも、直ぐにばれちまいました。旦那なら案外行けるんじゃないかと思いやしてねィ。土方さんと雰囲気似てるし」
「雰囲気似てるしの言い方何ソレ、嫌味?」
「分かってんじゃねぇですか」
「うっざ!嫌だよんな怪しい薬」
「・・・・あの時の姉さんってば、ちょぉっと頭撫でてやっただけででろんでろんでぇ・・」
「ご協力のほどよろしくお願いいたします」
何が望みだ。なんて聞けば、こないだのお詫びでさぁ、なんて帰って来た。
こないだ?お詫び?
・・・・・・・はっ、まさか、あの廃墟で謎の仮面的な首輪的な・・・・
「あれやっぱりお前のせいか小僧ォォォオオオ!!!」
「まーまー、これでチャラってことで。これからも仲良くしてくださいよ旦那」
ぐっ!!と銀時は唇をかみしめた。しかし、確かにこんな機会めったにないだろう。
心から尊敬し何もかもをゆだねられる大好きなお兄ちゃん的ポジションである土方は、時々恐ろしくイラッと来るほど羨ましい。
俺が姉さんひきつけとくんで、上手いことやって同時に薬を飲んでくだせぇ。なんて言って総悟がへとかけていく。
新八に、定春連れて帰れ、と追い払い、ゴキゴキと腕を鳴らしながら銀時は黒い笑みを浮かべた。まかしとけ。
そんな万事屋の主人を眺めて新八は、自分はこの人について行って本当に大丈夫なのだろうか・・・と頭を抱えた。
「姉さぁん!」
「わ!沖田さん、どうしました」
「喉渇きやしたぁ自販機行きましょう」
「コラ総悟。休憩は終わりだ、仕事行くぞ」
「いいじゃねーですか土方さん。ジュースの一本くれぇ」
「まぁまぁ、土方さんの分も買ってきますから。何飲みます?」
まったく・・・この餓鬼は。といる時はさらにガキになる・・。
そんなことを想いながら、土方はため息をついて仲良く自販機に向かって言った二人を目で追う。
にこにこと(普段なら絶対しないような)笑顔で総悟がに笑いかけ・・・・そして真っ黒な笑みでこちらを振り向いた瞬間、土方の背中に悪寒が走った。
「そおおおおおおいいい!!!」
「もがっ!!!」
イメージ的にはラリアットなんてぴったりなんじゃないだろうか、というノリで、思いっきり口の中に異物を放り込まれる・・・・・
・・・と言うよりも、放り込んだそのまま口ごと顔をがしりと掴まれて、文字通りラリアットをかけられた・・・必死の形相をした銀髪の侍に。
ごくん、と土方の喉が鳴るのを確認して、銀時ももう片方の錠剤を自分の口に放り込む。ヨシ準備は万端。
しばらくするとシュゥゥゥ・・・と体から煙が上がり始め、変化が現れ出す。
地面にしたたか頭をぶつけたため、土方は目を回して気絶していた。
・・・・・・はい、ここまで。
わあお。一年近く前に書いたとは思えないほど文体に成長が見られない(苦笑
続きは需要と猫の気力があったら書くかも。
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