偽物スイーツ 〜2/14の乙女戦争〜
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2月14日
本日は言わずと知れた記念日。
人類にとって重大な日なのである。
とある人は期待に胸を膨らませ、ある人は心から涙を流す特別な日。
そう、バレンタイン司教が殉教した日である。
バレンタインデーは、田園と牧人の神ルペルクス(ファウヌスの別名)をたたえる古代ローマのルペルカリアの祭(2月15日)が起源とされており、この祭りが、兵士の自由結婚禁止政策に反対したバレンタイン司教が、ローマ皇帝の迫害により西暦269年に殉教した日を記念した祭日(2月14日)とむすびつけられて出来たものです。
その後、聖バレンティヌスは恋人たちの守護者とされ、この日は恋人たちの愛の誓いの日となったのです。
彼がいなかったら私達はきっとチョコの存在をしらなかったであろう。
それなのに、それなのに…!!
「っー訳で、はっぴーばれんたいん銀さん&新八ちゃん」
「関係ないよね?その上説明がなんだかコピペっぽいんだけど!?」
「はーい、神楽ちゃんの分もあるよー。ぶっちゃけこいつらよりもでかいよー」
「完全スルー!?」
うるさい眼鏡は無視し、神楽ちゃんへ特大ハート型チョコをプレゼントする。
例えるならばm○ijiの板チョコ30枚分。
可愛い神楽ちゃんの為ならふだん料理しない私でも頑張っちゃうんだからね!
「わーい!ありがとう!見るアルさだはる美味しそうなチョコあるヨー!」
チョコレートをもって跳び跳ねる姿はまさに天使。
うん、マジで作ってきてよかった。
「さん、鼻血出てますよ」
「え、まじ?…おっと失礼。乙女の穴から出てきてはいけない鮮血を見せてしまったわね」
「言い方!もっと他に言い方があるでしょうが!!!」
「仕方ねーよ、新八。こいつは乙女の皮を被ったおっさんだ。乙女を期待するほうが可哀想だろ?」
「可哀想だろ?じゃないよ!ったく、折角2人にも作ってきてあげたのにどうしようかなー、超絶乙女のハートに1,000のダメージ。もうボロボロ立ち直れない〜」
よよよ、泣く真似をしつつサダハルに寄りかかる。
もふもふした白い毛皮が実に触り心地サイコー。
神楽ちゃんも「こんなにも乙女なのに何てこというネ、銀ちゃん!」と銀さんに向かって突撃し始める。
やっぱり神楽ちゃんまじ天使。
強くて可愛いとか本当に最強だよね。
これは本当に将来が楽しみだ。
「そうだぞー、女の子にそんなことばかり言ってるからモテないんだぞ。でも海のように広い心の器をもったちゃんは今の暴言を忘れてあげようではないか。この清楚で美しく性格も最高な私を心の底から褒め崇め奉るがいい。えーと、銀さんと新八ちゃんのぶんは」
は抱きついていた定春から離れると、持ってきた荷物の中をごそごそと探り始めた。
一体何がどれだけ入っているのだろうか。
彼女が持ってきた鞄は外から見ただけでも沢山の荷物が入っているように見える。
「あった、あった。はい、新八ちゃん。これが私の本気義理チョコだ」
「そんなにストレートに言わないで下さいよ。傷つくじゃないですか」
「うるさい、貰えるだけありがたいと思え。はい、銀さんはこれ」
これといってが取り出したのは高さ20cm程のチョコレートパフェだった。
上にはバニラアイスがコーンごと刺さっている。
一体どうやって持ってきたんだ?
今鞄から出さなかったアルか?
それぞれ思うことはあったが、貰った本人である銀時は好物を目の前にして何も疑問には思っていないようだ。
「おぉー!パフェじゃねーか。中々洒落たことするじゃねーか!」
「凄いでしょ、これ作るのに結構時間掛ったんだよ〜!もう途中で面倒臭くなってやめようとしたんだけど、銀さんの驚く顔がやっぱり見たくて根性で頑張ってみた」
「いやー、ウマそうだなオイ!ん〜、バニラの甘い匂いがたまんね〜。おい、新八スプーン持ってこいスプーン」
銀時にスプーンを持って来るように言われ、やれやれといった表情をしながらもスプーンを取りに行こうとする新八。
しかしそれはやけにニコニコと上機嫌になっているによって妨害された。
颯爽と銀時の目の前にあるパフェを奪い去ると、台所に向かって一直線。
の行動に誰も反応できない万事屋メンバー。
冷蔵庫にパフェを突っ込み、先ほどの荷物を掴むと銀時の前まで行き仁王立ちをした。
やけに自信たっぷりな表情が無性にムカつく。
あれですか。
これが例のドヤ顔ってやつですか。
「ほほほほっ!!残念でしたわね!あのパフェが食べたければこれから私が行く場所に同行しなさい!」
「馬鹿言ってんじゃねーよ。冷蔵庫入ってたってパフェがダメになっちまうだろ。どけ、」
「ちょ、暴力反対ー!大丈夫だって、実はあのパフェには特別な魔法が掛けて合ってちょっとやそっとじゃ溶けないように・・・って話聞いてよ!」
もう頭の中はパフェでいっぱいなのか、全くの話を聞かない銀時。
台所に向かう銀時の着物をひっぱり妨害しようとするがあまり意味をなしていないように見える。
「だーめー、食べるのは後にしてー!!この後の予定詰まってるんだから。パフェ食べたいんならその後にして!すぐすむから!!」
「いや、パフェが今すぐ私を食べてと俺を呼んでいる。俺はそのパフェ子の意志に従いたい!!」
「それ結局自分の意志!こうなったら仕方無い…神楽ちゃん!」
「分かったアル!行くネ定春!」
「ワン!」
まさに強行手段。
銀時を咥えると白い獣は玄関を破壊し、神楽を背中に乗せ外へと飛び出した。
ギャァァァァァとか聞えるけど、知らね。
言うこと素直に聞いてくれない銀さんが悪いんだ。
「ほら、新八ちゃんも行くよ!」
「え、僕もですか?それに行くって、どこに…?」
「愛の回収作業にさ!青少年よ、黙って私についてこーい!わははははっ」
万事屋メンバーを引き連れたは江戸中を駆け回った。
お妙ちゃんからダークマターをもらい、一緒にいた九兵衛ちゃんから割りと高そうなチョコレートをもらい、吉原では銀さんがモテモテになったり。
全身チョコでコーティングされたさっちゃんはとても美味しかったです。
でも、アゴ美さんのチョコレートも美味しかったです。
「で、なんで最後がここ(真選組)な訳?」
「だって一番おいしいのは最後に食べたいもん」
「答えになって無いッ!!」
「あ、丁度いいところに。土方さーん!そこで煙草ふかしてる土方さーん!」
問答無用で屯所内に立ち入れば、うまい具合に第一ターゲット発見。
銀さんたちを置いてきぼりには駆け出す。
うふふふっ!
やっと出会えたわね私の愛しのマヨラー王子様〜!
さあ、思いっきり私の抱擁を………!
「へぎゃ!」
「おう、じゃねーか。なに地面に突っ込んでんでさァ?」
駆け出したはいいものの、途中で草むらから出てきた何かによって進路を妨害される。
ってゆうか、コケさせられた。
しかもかなりの勢いで抱きつくつもりでいたから、かなり痛いんですけどコレ。
相変わらずやってくれるじゃない。
そーですか、そーですか。
愛しのあの子以外には優しくしないって訳ですか。
畜生見てろよ、今に不細工になる呪いをかけてやる恨んでやる妬んでやる〜!
「ちょっと、ちょっとうちの子あんまし虐めないでやってくれよ沖田くん」
バレンタインでテンション上がってんだからさ〜と、後ろからやってきた銀時に引っ張り起こされる。
転んだ時に飛んで行った荷物は上手い具合に土方のところに飛んで行ったようで、やれやれという顔をしながらも一服を終えた土方が持ってきてくれたようだ。
ヤダこれ何。
珍しく皆が私に優しくしてくれる。
逆に怖い。
ってゆうか、銀さんに至ってはバレンタインで一番テンション上がってんのはお前だろうが!
さっきからニヤニヤしてるのバレてるんだよ!
知ってるよ、知ってるし協力する気もあるからここに来てるんだけど…なーんだかなー。
「ん?どうした?」
「…はい、土方さん。コレ、バレンタインのプレゼント。マヨネーズの容器に入った生チョコだから。ついでに沖田くんも!!」
「おっと」
土方さんから受け取った荷物の中からプレゼントを取り出し渡す。
んでついでに沖田くんにも投げ渡す。
ち、顔面狙ったのにいとも簡単にキャッチされるとなんかムカつくな。
しかし感謝しろよ沖田総悟。
この様がお前のために、めちゃくちゃ頭を捻らせて考えたチョコレート。
その名も、イヤガラセシタイーノ(超マイルド)宇宙怪獣ステファン。
大福の要領でステファンの外皮をつくり、くそ甘いチョコレート(生)をこれでもかと積める。
そして下の方にちょっとした仕掛けを。
頭から食べて最悪な絵面になればいいわ!
いつも物理的に嫌がらせしてきやがって。
年下の癖に年下の癖に年下の癖に!
しかも、顔面レベルも高いからってムカつくんだよ!!(ひがみ)
「あとこれ。隊士何人いるかわからないから適当に作ってきた。たぶん余るはず。どこに置いておけばいい?食堂でいいかな?」
「ああ、それでいいだろ」
「了解。あと、みゅうどこにいる?」
「あー…、今日はまだ見てねーな。まだ部屋にいるんじゃねーか?」
「なんでィ、襲う気ですかィ?」
「違う」
なに物騒なこと言ってんでしょうねこのドS王子は。
まあ、襲うちゃ襲うけど襲うの意味が違うっていうか、襲わせるって言ったほうが正しいっていうか簡単にいえば強襲だよね。
チョコレートを貰いに。
だいたい女の子のみゅうが私以上にこのイベントを見逃すはずがない。
きっと女の子らしくふんわりと甘くとろけるような何かを作っているに違いない。
そんなの…
「奪っちゃうしかないじゃないですか」
「あれ?ちゃん?それに銀さんたちまで」
とか思ってたら本人来たーーーーー!!!
しかもちゃんと獲物持ってるぅ〜〜〜〜〜!!!
やっぱりね、やっぱりね、やっぱりね!
女の子はこうでなくちゃ!
見てよ(まだ貰ってないけど)あの可愛らしいラッピング!
朝からきっと頑張って個包装してたに違いない。
「やあ、みゅうちゃん。久しぶり。なんだか素敵なもの持ってるね?ひょっとしてチョコレートかな?(イケメン声で)」
「うん、そうだよ。今日はバレンタインだからね。あ、ちゃんの分もちゃんとあるよ。はい!」
「ありがとー、はい、私からもチョコレート。みゅうからのチョコレート貰うのってひょっとして私が一番?」
「うわ〜ありがとう!あー、うんそうなるねーちゃんが一番だ」
かーわーいーいー。
もう本当にかーわーいーいー!
しかも美味しそう。
みゅうからチョコレートを貰ったはその足で沖田のところへと行く。
後ろでは銀時と神楽、新八がチョコレートを貰っている。
計画通り。
目的達成!
いやー、今日は嫌がらせがいのある日だなー。
楽しくて楽しくてイヤになっちゃう。
「沖田くーん見て〜。貰っちゃった。みゅうから、一番初めに、バレンタインチョコレート」
「…別に、同性はノーカンでさァ」
「うふふふふふ、異性での一番も銀ちゃんが貰っちゃたみたいだけどぉ〜?」
「………ふん」
に自慢されたのが悔しかったのか、沖田もみゅうのところに行きチョコをせびり始めた。
あーあ、ダメなんだ沖田くん。
女の子にはもっと優しく接してあげないと。
嫌われちゃうよ?(笑)
皆がみゅうのチョコレートに群がってる間には、局長のゴリラにチョコを渡しに行ったり、食堂にチョコ置いてきたり、地味崎さんにチョコでコーティングしたアンパン投げつけたりして着実に荷物を空にしていく。
そして全ての作業が完了して、外でワイワイしている万事屋メンバーに声をかける。
「銀さーん!私もう満足したからいつ帰ってもイーヨー!」
「おーう、わかった。行くぞ新八、神楽。みゅうもチョコレートあんがとな」
「どういたしまして」
みゅうに別れを告げ、家路につく。
今日は結構楽しかったな。
机の上に広げられた色とりどりのチョコレート。
見るのも楽しいが、これをくれた人がどんな気持ちで用意してくれたか考えるとよりいっそう輝く。
まあ、私用のと銀さん用では意味が違ってくるんだろうけどね。
冷蔵庫から取り出したるは、魔法のかかったチョコレートパフェ。
コーンの持ち手を擦ればあら不思議。
あまーい匂いが辺りに広がります。
「はい、銀さんチョコレートパフェ。説明書はこれになります」
「あん?説明書?そんなのなくても糖分王の俺にかかれば…」
「いいから。私からの超心がこもってない義理の義理の義理の義理。新八のチョコレートと比べたら新八のが豪華じゃね?本命じゃね?と思えるこのパフェ私が帰ったら食べはじめてね。んじゃ、バイバーイ」
「義理多くないですか!?」
「私の気持ちだから。んじゃ、バイバーイ」
軽い足取りで万事屋を後にする。
今日はバレンタインデー。
全国の女の子達がワクワクドキドキする日。
「………な、なんじゃこりゃー!!スプーンが刺さらねー!!!!」
「銀さん、これ説明書によるとフェイクスイーツってやつらしいですよ」
「つまりは食品サンプルネ!食べれないのを寄越すとは銀ちゃんに嫌われてるんじゃないアルか?」
「義理義理言われてましたもんね。あ、アイスのコーンの持ち手の紙を擦ると甘い匂いがするらしいですよ」
「ー!!!!」
だってみんなと同じじゃつまらないじゃない。
これ位しなきゃ印象に残らないでしょ?
それに一番欲しいチョコレートは貰ってるんだからこれくらいの意地悪は我慢してよね。
私からのバレンタインプレゼントは形の変わらないフェイクスイーツ。
本物みたいな甘い匂い付だけど、食べられない代わりに無くなりもしない。
無理に壊さないかぎりそこに存在し続ける。
何て素敵な贈り物。
“私からの超心がこもってない義理の義理の義理の義理”
まあ、それもフェイクなんだけどね。
会社の先輩でしたw。どうもほんとにありがとうございました!(´ワ`*)
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