今日は記念日。英語で言うとアニバーサリー。
隣のソファに腰かけた総悟は深紅のマントを翻して、氷のような凍てつく瞳で寒気のするような薄ら笑いを作って見せた。
今日はめでたい日だ。

「神聖真選組帝国も誕生して今日で二年か。月日は短いものだ」
「・・・・・・・・・・」
「オイ、お前もそう思わんか」
「・・・・・・そうですね」

くるりとこちらを向いた総悟は何の思考も読み取れないようなポーカーフェイスでとんとん、と腰かけているソファの肘置をたたく。

「オイ誰が人語を発して良いといった豚が」
「ソウデスネご主人様ぶひぶひコレデイイデスカご主人」
「よろしい」

今のも豚語じゃねぇよ。
はぁぁ、大きくため息をついて、立ち上がったは窓の外を見た。
今現在と総悟がいる部屋は地上13階。なんつーかお城の中心にある高い塔の真ん中に位置するこの部屋の窓からは、屯所の敷地内が一望できる。


・・・・・神聖真選組帝国ってなんだーーーーーーーーーーーーー!!!




まぁいい、落ち着け、落ち着くのよ
半笑いで腕組みをしながらソファに腰かけたに、隣から「オイ貴様何勝手に私の隣に座っている処刑すんぞ」とご主人サマから声がかかるが無視して考え込む。
「オイちょっと聞いてんの」「聞いてますバカイザーちょっと黙ってもらえませんかぶひぶひ」「いやバカイザーってオマエちょっとオマエ」
考えろ、考えるんだ。とりあえず整理してみよう。

2週間仕事の都合で出張していたら、帰ってきたら私と総悟の関係が「恋人⇒豚」に変化していた。
ヨシ分かりやすい。完璧に今の状況を説明しているイヤ意味が分からない。
屯所はなんかすげぇことになってるし、土方君はなんか恐ろしいことになってるし、あんパン君はあんパンなことになってるし。
とりあえず自分の恋人は一体何がどうしてこうなった。

横に座ってわずかに不機嫌そうにこちらを見やるご主人サマを見やる。
江戸に帰ってきて街を歩いていると突然こわもての金髪ヤンキーに捕まってここに連れてこられた。
そのヤンキーはのちにあんパン君だと知る。こわもてだったけど全然怖くなかった理由がやけにすっきりしたというのは本人には言わないでおこう。
とりあえず屯所は帝国と化していて、自分はいまの総悟のペット的ポジションなんだろうな。豚がペットってどういう・・・いやミニブタはかわいいとおもうけどね。

「土方、貴様は下がれ」
「はい、バカイザー」
「・・・お前あとで絶対殴る」

にこにこした気持ち悪い人が部屋を出て行ってしまうと、総悟と二人きりになる。
総悟は暑苦しそうに纏っていたマントを脱ぎ、じぶんでいそいそとハンガーにかけてポールにひっかけた。
・・・そうか、たとえ皇帝になったとしても、屯所の中に放られたマントをハンガーにかけてくれるような気づかいのできた人なんていなかったわけか。自分でやる癖がついている。

「オイ」
「なんですかぶひぶひ」
「その喋り方やめろ」
「わがままが多い」
「2年間もどこほっつき歩いていた」
「仕事の関係でちょっとグアムまで」
「まじか」
「嘘に決まってんでしょ」

つか何だ2年って。

「よかった。坂田将軍に攫われあられもない雌奴隷に調教され鉄の街かぶき町の公衆便所とかしていないか期待してたんだぞ」
「最後の一言がすべてを台無しにしてるよね。期待って何、坂田将軍って誰」
「本当に無事でよかった・・・お前は私だけの豚だ」

イヤそれ嬉しくないんですけど。
ぎゅうと抱きしめられながら言われてげんなりする。
せっかく二週間ぶりに会えたのに豚ってなんだ。愛のかけらも感じない。

「・・・総悟」
「カイザーと呼べ豚」
「嫌だ。総悟」
「なに」
「名前で呼んで欲しいなぁ・・」

「うん」

すり・・と甘えるように総悟の腹に頭を押し付ける。しばらく黙った後に少々温度の上がった掌が降ってきて頭を撫でてくれた。
この男はこうやってたまーにから甘えてやると弱い。変わっていないようで何より。

口が悪いのもドエスな仕打ちもこの男の子供じみた甘えだ。
普段全力の体当たりで甘えてくるためこちらから甘え返してやると、戸惑うような、嬉しいような新鮮な反応を見せてくれる。
総悟に撫でられながらは考えた。やっぱり2年など立っているはずがない。
この男が二年も放っておかれた女をまだ想っているなんてありえないもの。

「・・・こうやってお前が甘えてくるのは、あの時以来だな・・・」
「ん・・?」

さらり掬った豚の髪にキスをしながら、総悟が目を細めた。
あの日とは、二週間前、が出張に行く前日の事だろうか・・・




「俺たちは別れた方がいい・・」
「なん、で・・急にそんなこと・・・!」
「急じゃないだろ。お前も分かってるはずだ。俺と一緒にいるとお前に危険が及ぶ」

お前を危険に巻き込みたくないんだ・・・。
総悟は苦しそうに拳を膝の上に置きながら下を向いた。
ベッドの上、ひょんなことからクマと対決することになり揚句ぼろぼろにされた総悟には、痛々しい包帯が多量に巻かれていた。


「俺はまだまだ弱い、これからどんな強敵がでてくるやもしれねえのに、今のままじゃお前を守れない」
「総悟・・・」
「お前のことが大事だから、強くなりたい」
「・・・わかった。でも・・きっと・・きっとよ・・・?」

「これは俺の決断だ」

総悟の持っていた紙がくしゃり、としわを作った。それは新聞を切り取ったひとつの記事。
そこに乗っている写真には大きな墓と、その前で黙とうをささげる一人の男が写っている。

「焦っても今の俺じゃ“新世界”は駆け上がれねェ・・・・・・」

「立ち止まって力をつけるんだ」

「そしてまた必ず・・・終結する!」



「二年後に!!ジャボンディ諸島で!!!」






「なんでだァァァァァアアアア!!!!」

スパァァァァァン!と小気味良い音。
どこからか取り出した真っ白なハリセンで、は総悟の顔面を思いっきりはたき飛ばした。





一周年記念時の拍手沖田さんver.なんだこれw
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