※他サイトのヒロインさんです(銀ちゃんの彼女で、お団子屋さんを営んでます)
※屯所の猫ヒロインも出てきます
※いろいろとお互いの世界観がごっちゃになってます。
※いろいろと・・・・・あやふやです。ごめんなさい。



*****

梅雨が明けてからこっち、一気に上昇した気温で昼間は外に出るのも気が進まない。そんな、夏の始まりのある日。
閉店時間も近いということでの団子屋の席も空いていた。
店先から眺めた景色は浮ついた賑わいを見せており、人通りも多い。色とりどりの着物にいつもより大きめに締めた帯が華やかだ。
すれ違う人を眺めながら、のほほも自然とゆるむ。今日は夏祭り。
若い娘一人で営むこの団子屋の営業時間はそれほど長くない。店の奥には既に銀髪の侍が手をわきわきさせて待機している。
あ、わきわきというのは決していかがわしい意味がこもっているわけではない(こもってるかもしれないけど)。
この日のためにと壁に掛けられた柑子色の浴衣を眺めながら、帯はどんな結びにしてやろーか、髪型はどう弄ってやろーかと緩みきった顔で考えを巡らせている事だろう。の髪は昔と違ってそうは長くもないのに。

そんな時だった。
「よう、まだあいてるかい」

「いらっしゃいませ!もちろんですようー!お好きなお席にどうぞー!」
条件反射で自然と出てくる決まり文句を口にしながら、は笑顔で声の主を振り返る。
後ろから響いたその声は決して聞き慣れないものじゃない。固定客の多いの団子屋の中でも一二を争う常連、真選組の沖田総悟だ。
「・・あらぁ?」
しかし、振り向いた体制はそのままに、は大きな目をさらに開いてぱちぱちと瞬き。
いつもと違う袴姿の総悟の隣には、見慣れない一人の女性が立っていた。

「・・おーい、団子ふた皿。聞いてんのかぃ」
「ふぁっ?あ、は、はいっ!ただいまー!」
日も傾いたことで若干涼しくなった表の席にどっかり腰を落ち着けて、何でもないような顔をして総悟はに向かった。の視線がこちらを向いているのを確認してから、立ったままの連れの女性を見上げ隣をパンパンと叩く。「座んなせぇ」
ぽかーんとその様子を眺めていたを再び振り返って、総悟はニヤリと含みのある笑みを漏らした。
「心配すんなィ、そう長居はしねーよ」







**言っときますけど、コレの銀ちゃんはたん一筋ですからッ!**







バァンと開かれた奥の間の扉の向こうで、銀髪の男がびくりと肩を飛び上がらせる。えっ、どうしたの?
「銀ちゃん!浴衣!」
「えっ?」
「早く!」
「お、おう・・・・お前、店は?」
「んなもんとっくに閉めたわよう!」
言いつつもが向かうのは押入れの中だ。ごそごそしばらく頭隠してそのむちむち美味しそーな尻隠さずだったが一枚の浴衣を引っ張り出したのを見て、銀時は首を捻らずにはいられない。
むむむ・・・?しまいにはその浴衣を見て顔をしかめる始末。地味と言っちゃ失礼だが、落ち着いた色合いの一枚。もうちょっと明るい色の方が似合うと思うのに。
「せっかく出してあんのに、コッチ着てくんじゃねーのかよ」
この浴衣に合うように銀さん帯も髪飾りも準備したのに。

しかしながらはというと、いささか興奮気味にうがあ!と牙をむいて啖呵を切ったのだった。
「んな派手な浴衣着ていけるわけないでしょーがっ!」
「えええっっ?!」



いつも一人で来る総悟が人を(しかも女性を)連れてくるだなんて、この上なく珍しいことだ。
「やァ、こちら春から新しく屯所で働くことになった姉さんでさぁ」
まあ、そうだったんですか?どうぞごひいきにしてくださいね!お茶を持って行ったときにそう紹介されて、にっこり互いにあいさつしたが、は内心それどころではない。
何でそんなに「笑顔」なんですか沖田さん!
「笑顔」で、丁寧に恭しく連れのお姉さんに説明する。手放しで褒められて、むずむずと背中のあたりがかゆくなってしまう。
「こちらの姉さんはねえ、この年で、一人でここを切り盛りしなすってんですよ、大したもんでしょう」
思わずは心の中で叫んでしまった。
なんかキモイ!

は知っている。この子の笑顔は1000%AKUIだ。邪悪な考えなくしてコレが満面の笑みなどありえない。
聞くまでもなく、当て付けというやつだ。似たようなことは前にもあった。その時はつゆほども問題としなかったのだが。

今回少しだけ問題なのは、三月“も”真選組・・・総悟の傍に居ながら、この人が少しも嫌そうな顔をしていないことだ。
今までの経験からしてはっきりとわかっていることは、総悟に彼女ができないのは(本人が作ろうとしないのもあろうが)寄ってきた側の方が大抵すぐもたなくなるからだ。
まあ、総悟の性格や性癖や性癖(ド)や性癖(S)のせいであることは言うまでもないが。
測ったかのようなタイミングで厠に立った総悟を見送って、はさりげなく、ポロリと口を滑らせたていを装ってカマをかけてみた。
「な、何だか今日の沖田さん大人しいですねえ〜」

「屯所ではいつもあんな感じですか?」
「まさか。朝から晩まで悪戯ばっかりで困っちゃいますよ」

まぁ、もう慣れましたけどね。あははと真選組のお姉さんが苦笑い。や、やはりか!
わけのわからない汗がジワリと浮かぶが、日が暮れても暑苦しい季節のせいにしておく。
しかし同時に、はこのおねーさんがなんだかものすごく健気に思えてきた。一日の内のわずかな時間でもアレなのに、それが毎日朝から晩までソレとは。本当にお疲れ様です。

「よォ、話はすんだかい」
「沖田さん」
「んじゃ姉さん、そろそろ行きやしょーか。オイ、勘定してくんな」
「え、あ、ありがとーございましたぁ!」
促されて慌ててレジへ引っ込めば、ついてきた総悟がレジ台に片肘をついてニヤリと悪い笑みを浮かべる。
「今からあのねーさんと夏祭りでさァ」
「まあうらやましい。よかったですね」
「またまた。アンタもダンナと行くんだろ」
真意がつかめず一瞬口をつぐむ。が、すぐに持ち直して、はいつも通りの営業スマイルでそうですよう、と返した。

「でも親御さんも心配するでしょうし、連れまわすなら遅くならないようにしなきゃだめですよう?」
「そいつぁいらねェ心配でさ。ちゃんと俺が送ってくんでね、・・・屯所まで」
「・・・・・屯所??」
「・・ああ、言ってやせんでしたねぃ」

あの女ぁ屯所で住み込みでさァ。
ごちそーさん。そう言って去っていく背中を眺めながら、の頭はぐるぐると目まぐるしく回転し続けていた。
好き合っているとかそういう関係ではなさそうだが、総悟の方は少なくとも多少は彼女の事を気に入っているのは嘘ではないだろう。もしも彼女が総悟のイイ人ならば。
そうなると?
二人っきりで夏祭りに行って、いい雰囲気なんかになっちゃったりして、そのあと二人屯所に帰って・・・っ。
つまりは・・・・、


「こっそり後をつければ、初々しいあんな沖田さんやこんな沖田さんが見えるかもしれないっっ!!」
「そこかよ!!」
ぐっ、と拳を握るの後頭部に、銀時の平手が振ってきた。





江戸の夜は華やかだが、いつものギラギラしたネオンの光とは違う、暖かな提灯の明かりがずらりと続く。
行き交う人々は親子・友達様々だが、おそらく一番多いのが男女のペアだろう。大きくうねる人ごみの波にはぐれないようにしっかりと繋がれた互いの手がそこかしこで見れる。
大江戸神社奉納祭。
銀杏並木の境内を縁日の灯りが美しく彩る。
色とりどりの提灯に照らされた艶やかな浴衣姿に、男女は互いに気分を甘く高め合い仲を深めるという・・・

「なんでだよ」

ウルトラニャンのお面をつけた男が一人掌を水平に横に出しながらつぶやく。その隣ではピカピョンのお面をつけた娘が両手に木の枝を持って身構えていた。
なんで!今日の昼まではこんなはずではなかったのに!お祭りときたら普通こう・・・!
艶やかに着物を着こなしながらにっこり振り返るを想像して銀時はため息をつく。くらいの長さならギリギリアップだっていけたはず。俺のうなじを返せ!

「なんで尾行なんだよ・・・」
「目の前をウロウロしたら、嫉妬して当てつけてるみたいじゃない」
「その通りだろーがよ!」
大人しく認めてしまえばこちらだって何かしら弄りがいがあるというものを。さっきから沖田さん沖田さんと・・・・。
「銀さんもーかえるっ」
ちょっとは銀さんの事もかまえよ!!
文句を言いながらぷいっとそっぽを向けば、やだやだとに飛びつかれた。

「だめ!ひとりでこそこそしてたってすぐ見つかっちゃうもんっ!」
「オマエ銀さんの事なんだと思ってんの?!」
忍者がよく持ってるあの“木目の書かれた布”とかですかっ?!コノヤロー!

「もーやだあ、銀ちゃんたら何言ってるの」
草葉の陰からチョコバナナを頬張る総悟と彼女を覗いていたがくるり振り返る。
は銀ちゃんがいちばん!銀ちゃんだあいすき!なんていわれてしまえば、銀時としてはそれまでなわけで。
・・・・否、やっぱり何も満たされない。ピカピョンのお面に見つめられたってどうときめけというのか。
「・・なー。今からでもいいからフツーに祭りまわろーぜ?銀さんとたこ焼き食お?」
「あっ、動き出した!銀ちゃんっ、銀ちゃん!はやくっ!」
「・・・・・・たく・・」
ぎゅーぎゅー引っ張る小さな両手に見る見る間に蹂躙されてしまった銀時は、諦めたように空いた手で頭をかいた。




「あーららぁ」
「いたたた・・・」
「これまた酷く踏まれやしたねェ」
「鼻緒が、切れちゃって」
「だっせぇ」
神社の片隅、植え込みの舗装に腰かけた娘の隣にやれやれと腰をおろす総悟を、と銀時は裏手の茂みから見守っていた。祭りも終わりに近づき人もまばら。これから始まる花火を見ようと、みな手を取って橋の方へと向かっているのだ。
「なんだか、すみませんね。私がお祭り行きたいって言ったばっかりに」
申し訳なさそうにうつむく真選組のお姉さんに、総悟はふるふると頭を振った。
「楽しんで貰えたならよかったんですが」

「すごく楽しかったですよ!ありがとうございますね」
にっこり笑顔を向けられてわずかに総悟の表情が崩れる。さりげなくつながれた手。
はわわ!とは興奮の奇声を隠そうと隣の銀時の二の腕に口元を押し付けながらばしばしと肩をたたいた。
これってアレじゃないか?いい雰囲気ってやつ?あの気難し屋の悪餓鬼が、出会ってたかだか3か月かそこらの他人にあんな表情を見せるだなんて!
おねーちゃん嬉しくて・・・!

「沖田さんにとっちゃ楽しくなかったかもしれませんけどね」
「んなこたねーや。良いもん見れやした。必死に2本のチョコバナナを咥えてる様とか」
「やっぱりあの食べさせ方は悪意あったんですかァァァ!」

それと同時につきんとよくわからない痛みが左胸を襲う。
なんでだろう?時々弟のようにも思えるあの子が仲良しの友達を見つけることは、としても嬉しいことの筈なのに。
総悟があのお姉さんのことをもっと気に入れば、がほとほと迷惑している悪戯だって少しは減るだろうに。
・・・そしたら、もう総悟はの団子屋に足を運ぶ回数だって減ってしまうだろうか。彼の恋の悩み相談も面白そうだとは思ったが、よくよく考えてみればあの男がなんかに恋の相談を持ちかけてくるなど考え難いことだ。
毎日欠かさず顔を出してくれた総悟が・・・それは・・・ちょっとだけ、寂しいかも。
そう思ったところで、視線の先、笑顔で笑いあう二人の向こうから別の声が響いた。

「・・たく・・!こんなところに居やがったか総悟ォォ!ケータイくらい出ろや!」

「土方さん!」
「やだなァ誤解でさァ土方さん。この人ごみですぜィ?みーんな使ってちゃ電波が込み合って繋がらないこともある気がしてたんですがよかった計画通りだったわけですね」
「テメェェェ!!仕事舐めんのもいい加減にしろ!」
「またまたぁ、俺が舐めてんのはひじか」
「もういいわ!!」
げんなりとした表情で上がってきた階段をくい、と顎で促す。テメー今日夜番だろが。どーせ忘れてんだろ。
オラ、お前は帰んぞ。来い。
そう言って土方は総悟の隣に座る娘の名を呼ぶ。様子をうかがっていたは息をのんだ。


・・・・立ち上がったお姉さんが、一瞬だけ総悟の手を振り払ったように見えて。


待ってくださいよう土方さんっ!
鼻緒の切れた下駄を片手でつまみあげてかけていく彼女の視線の先で、呆れたように黒髪の男がタバコの煙を吐き出す。
オメーものこのこ付いてくなっつってんだろ、アレが調子のるだろうが。
ごごご、ごめんなさいっ、わたし、沖田さんが夜番なの知らなくて・・・わたしが頼んだんですっ。
・・・お前、足どうした。・・・・・・・たく、貸せ。オラ乗れ。帰んぞ。
うわわわわ?!・・・あ、あの、あの?!

「オイ総悟!お前時間までに帰って来なかったら切腹だからな!」
そう言って女を背負った土方が去ってしまえば、残されたのは総悟一人になる。は思わず両手で口元を覆ってしまった。沖田さんかわいそう!!
そして隣の男の横腹にエルボーを食らわす。こちらは笑いをこらえきれていない銀時を黙らせるためだ。「だからお前本当俺の事どー思ってんの?!」地べたに転がりながら上がる彼の渾身の叫びは聞かなかったことにする。
最悪だ。最悪のパターンだ。明日いつものように彼が団子屋に訪れたとして、こんな場面を目撃しておいてどんな顔で接すればいいというのだろうか。
見なかったことにしてもかまわないのだが、今のはキツイ。あんなものを見せつけられては。
・・土方のもとへと掛けていく女の顔は、とても幸せそうだった。

どうしたものかと草むらの陰で一人おろおろ。そんなの気も知らず、一人残された総悟は「あーあ」と座ったまま大きくため息をついて空を仰いだ。
その姿に思わず目を見張る。

もっと最悪的に機嫌の悪い表情を予想していたのだが。
予想とはうらはらに、総悟の表情はわずかに穏やかささえも感じられるものだった。
もちろん少しも落ち込んでいないわけではないだろう。でも、「しょうがない」と僻むというよりは、「これでいい」とすがすがしく飲み干すような。
笑顔で去って行った彼女を想ってやんわりほほえみを浮かべる、少しだけさびしそうなその表情に、は釘付けになってしまった。沖田総悟のそんな顔は、今まで見たことがなかった。
「ホラ、“ごっこ”はもう済んだろ。もうほとんど終わっちまったが、花火見に行っか」
ちょいちょいとたもとを引っ張ってサインを送ってくる銀時を振り払って、は思わず駆け出した。


「・・・なぁんだ、かっこ悪ィとこ見られちまったなァ・・」
「沖田さん・・」
「ひひっ・・イイ人ひとり見つけんのも、案外大変だなァ・・・・・おっと、今なぁ聞かなかったことにしてくんな」
「・・・・っ!!」

きゅーん!!
滅多にお目にかかれない、空元気の弱弱しい愛想笑い。まるで切ない系少女漫画にでてくるヒーロー役の男の子だ。
むぎゅうううう!と総悟に抱き着いたを見て、後ろで銀時が「えええええええ?!」と叫び声をあげた。

「心配しなくても、沖田さんはこんっなにいい男なんですもんっ!大丈夫ですよ!」
「そーかい、そりゃぁ嬉しいねぇ」
「まだちょっとならお店出てますよっ!よかったら、一緒に回りませんか?」
そう言えば、顔を上げた総悟がやんわりと微笑んだ。

「俺でよければ、よろこんで」
「きゅうううううう!!」
「オイコラァァァァァアアアア!!」

切実なツッコミを高らかに叫ぶ銀時は気づいている。
のやわかい体にされるがまま押し付けられている総悟のその腕は、彼女の見えないところでぐあしっ!と、力強いガッツポーズを作っていた。
どこまでが作戦ですかああああああああ!!?













・・・・はい、おつかれさごめんなさい。
スーパーリスペクトサイト「Funny Goose」すみれさんより、「うちのヒロインを、書いていただきたいですすみません!」でしたありがとーございやァす!
こちらこそ書かせていただきましたですすみません!!(スライディング土下座)
「もし、もしできましたら、屯所の猫さんの世界にぜひお邪魔させてください」とのことで、
え?屯所の猫さんの世界にぜひお邪魔させてください・・・屯所の猫さんの世界にぜひお邪魔させてください・・・・???と悩むこと一か月(笑
こんなんで良かったでしょうかァァァ><なんかどっちのヒロインもどっちの世界観もあやふやになってないか怖いです。でも書いてて楽しかったです。
ねこが書く銀ちゃんはどうしていつもあんな役回りなのでしょうか・・・そして土方さんマジ鬼畜ポジwww
こんなものでよろしければ、ささげさせてくださいまし!!60万おめでとうございました!