美緒さんちのヒロインをお借りしてます。
腕っ節の立つつんつん系ヒロインで、一番隊の副隊長を務めています。
美緒さんちよりもだいぶ二人の距離が近いことになってます。







空気の冷たく、澄んだ夜であった。
隊一番の問題児である自分の部屋の周りは、隊士たちも滅多に近づかないため物音一つしない。
遠くでどこかの飼い犬が、おおんと遠吠えをするのが小さく響くのみ。

そんな一番隊隊長の部屋の前に一つ、男世帯の真選組には似合わぬ小柄で細い影。
誰と問わずとも気配でわかった。共に1番隊を背負う「異例」の副隊長。奴だ。

入れ。扉の外で煮え切らない態度をとっていた気配に待ちかねて、こちらから声をかける。
彼女・・・不運にも「副隊長」と言う名の彼の御守りに(半ば強制的に)任命されてしまった、真選組唯一の女隊士であるは、小さく息を吐きつつ、お情け程度の礼儀の言葉を呟きながらその扉を開けた。



「・・遅ぇよ」

ぴしゃん。


「失礼します」「失礼しました」が「失礼しますした」になる勢いで再び襖が閉まる。
そっと手で開いた襖を開ききらないうちに足でスパン!

「仮にも上司に呼び出されたのにお前その態度はねぇんじゃねーの?!なあ自分でもちょっとくらいそう思わねェ?!」
「仮にも部下の女性にそういう事要求するような人は、仮にも上司とはいいません」
「仮にも女性ならオマエはもうちょっとその足癖直せ!仮にも女性じゃねーぞさっきの!」

バタンと音を立ててもう一度開いた襖の外側と内側で始まる不毛な争い。いつもの事、ではある。
・・・のだが。


「・・んで?そういう要求って、一体どういう要求のコトなんで?」


いつもと違う、一転して静かにそう耳元で訪ねてやれば、
何をやらしーことを想像したのか、びくりとの肩が跳ねた。

「え?あ、それは・・・っあ、」

そうそれは、彼女のトレードマークを奪うに十分すぎる隙で。
眼鏡を奪われ慌てふためく、先ほどとは比べ物にならないほど更に隙だらけな彼女を見て、
全くこれだから飽きないと心の中で口元を釣り上げる。
釣り上げながらそのガードもクソもなくなってしまった彼女の唇に、自分のそれを押し付けてやった。

「そういうオメーも言われるがままじゃねぇのかィ」

言いつけどおり石鹸の匂いさせて来やがって。いいこいいこ。





部屋の中は小さな灯りがともっているだけで薄暗い。
既に敷かれた布団が一式。もちろん沖田も寝間着だ。
確かに普通の女の子が呼び出されてきてみたとして、嫌な予感しかしない光景ではある。
いつも何かと(沖田に対する)ツッコミに暴力を惜しまないこのメガネ女に「女の子の部分」が存在するのかどうかは危ういとして。

「・・ひっ・・ひどい、部屋の、外で・・捕る、なんて・・」
「あーあー、俺の文句はいっつも知らんぷりなくせしてテメーは文句の塊かぃコノヤロー。言うこと聞いてさっさと入って来ねーからそうなるんでィ」
「かっ返してっ・・眼鏡・・かえしてぇ・・」
「やーなこった。返せっつーならせめてこっち見ろ。柱に頼むな」

敷かれた布団の上に胡坐をかいて、から奪った伊達眼鏡を手持無沙汰に自分にかけてみる。
チラリと見やった本人はというと、部屋の隅っこで顔を抱えて震えながら、沖田に背を向けて壁とにらめっこの真っ最中。
いつも冷静沈着で無愛想で、何時であろうと的確に身体の至急所を回し蹴りで命中させてくる女は、
メガネを取るとあら不思議。自分にまったく自信の持てない対人恐怖症ビビリちゃんに早変わり。
今でもにわかに信じられない。これらが本当に同一人物だとは。
しかも最近"差"が酷くなってきているような気さえする。沖田から見た感覚なので定かではないが。


「お、おき・・たいちょ・・たいちょっ、お願いです返して・・早く・・」
「・・・あー。らちが明かねーなったく」

かたくなに顔を見られたくないのは不細工(だと本人は思い込んでいる)な素顔を見られたくないから。
見られて嫌われたくないから。全く驚きである。
この娘が自分に嫌われたくないとは。普段あんだけ足蹴にしておきながら。全く驚きである。
驚きなのはもう一つある。結局は同じようなもんな自分にも。
今日こそはメガネ抜きで進めたかったし、こんな寒い夜にわざわざ布団の上から動いて出向きたくもなかったが。

「うぅぅ・・返し・・ふえ?」
「ほらよ。さっさとかけてこっち来い」

ただし、逃げんじゃねーぞ。
そう言い聞かせて、後ろから回した腕での手に眼鏡を握らせる。
そんな沖田の行動が意外だったのか一瞬の間は黙りこくってしまった。くすん、と鼻をすする音だけが静かに響く。

「・・ていうか・・別に逃げませんし・・」
「嘘こけ。さっき思いっきり逃げ帰ろうとしてたじゃねーか」
「・・・・」
「あ、劣勢になったからっていきなり蹴るのもナシな」

ぐい、と肩を引けば今は大人しくこちらを向く、の眼鏡の奥の瞳は薄暗い中でもわかるほど真っ赤に潤んでいた。
調子は戻れどさっきまで泣いていた涙を急に引っ込めることなどできないのはもっともなのだが、これはこれはどうしてなかなか。
普段が無愛想で生意気で、思い通りにならなくて、沖田の方が振り回されてばかりのメガネ女のこんな表情も、なかなかにレアでそそる。
きっと、ではなくて確実に、彼女のこんな姿を見られる輩、そうそういまい。
そう思うと得も言われぬ優越感がじわじわと体の中を占めていくのを感じた。

「なんで、邪魔じゃん。外せよ」
「いっ、嫌です!いや・・・」
「分かった分かった・・捕らねーから離せ・・・さすがに、手は邪魔」

今度は捕られまいと眼鏡の柄を掴む女の手を、一回り大きな沖田の手のひらが絡め、ゆっくりと引き離す。
そのまま捕えた手ごと壁に押し付けて、ついでに体も密着させてやる。
ワガママなパートナーを(若干不服ながら)たてて、邪魔にならないよう顔を傾けて下から救い上げるように。
熟れた果物のようにみずみずしくつやのあるそこに、今度は触れるだけでなく歯を立てる。
ビクリと相手の身体がこわばったのでいったん唇を離すが、主な抵抗が来ないことを確認すればすぐまたふさぐ。
もともと逃げ場などないのにさらに後ずさろうとするの太ももの間に膝を割って入れ、さらに壁に張り付けるように。

「ちょ、おきたさん・・ふぁ・・」
「オーイ、ヒナが出てんぜィ」
「あ、やだ・・・」

とろんと目元を潤ませながら、とろけた様な口調で名前を呼ばれる。
膝で押してやれば多少腕に力がこもったが、簡単に抑え込んでやった。

「い、やぁ・・」

イヤだァ?自分にここまで譲歩させておいて、更にワガママとは。ふてぶてしいにもほどがある。
こうやって泣いて嫌がるからメガネなしプレイはずぅっとお預けだし、

目隠しなんてすれば本気で嫌がられたのでもうできないし、
梗塞は器用に縄抜けして仕留める勢いの目つぶしが飛んできたし、
この間の手枷は最悪に厭だと(沖田が)泣くほど責められたし、

「ちょっと!沖・・んん」
「黙れって・・なァ、せめて」
「や・・!」

いつまでたっても慣れない、ガチガチにこわばった柔らかい壁をこじ開けて舌をねじ込む。
こんなんじゃいつまでたっても先に進まない。
逃げ惑うを捕まえて甘噛みしてやる。するりと離した片方の腕を彼女の腰に回し、帯の結び目をたどった、
その時。


「だ、めェェ・・!」
「は?・・ゴッフゥゥ!!」


女の身体ってやわらかい。座った状態であんなに高く綺麗に勢いよく足が伸ばせるなんて。
0距離からの彼女の十八番、渾身の足技は見事沖田の喉の下の辺、鎖骨あたりをクリーンヒットし軽く息ができない。


だから目隠しなんていい!
梗塞も手枷も諦める!
そんなに言うならメガネだって妥協しよう!
その咄嗟に出る足を何とかならないものか!!


足癖悪すぎィィィィ!!せめて足枷だけでも!!!



バキメキごあっしゃぁぁん、なんて壮大な騒音を奏でて宙に浮いた体が部屋の反対側の箪笥に突っ込む。
衝撃で声も出ずにただただ震えながらうずくまる沖田の真横で、静かだったはずの隊長部屋のふすまがスパァァン!と開かれた。

「総悟ォォォ!大丈夫か!!ちゃんいくらなんでも手加減してあげて!!」
「生きてるか?生きてるよな?オイ!お前らいい加減夜な夜などったんばったん暴れるの止めろ!!」
「沖田隊長が女一人押さえ込めないような非力なのが悪いんです」
「バカ言え総悟が本気でかかったらお前と言えどひとたまりもねーぞ!勘違いするな!ヘタレなだけだ!」
「沖田隊長がヘタレなのは認めますがそれとこれとは今は別の話で」

あーだ

こーだ

沖田の頭の上で様々な意見が飛び交っていく。
とりあえず誰一人として沖田をフォローする気がないのは分かった。激しく怒りがわいた。
つかなんで当たり前のように人の部屋入り込んでダンガンロンパかましてんだこいつらァァァ!!










すうっと、着地がキレイに成功したように、何の違和感もなく目が覚めた。
目の前にあるのはいつも通りの自分の部屋の天井だ。むくりと起き上がってみれば、まだ外は薄暗い。
なめらかに目が冴えたはずなのに、なぜか鎖骨のあたりがむかむかと痛む。


・・・俺は本当に、あんなのに恋してしまっていいのだろうか。

そんなことを割とつとめて冷静に想った、とある早朝の沖田総悟であった。



おわり









忘れ(げふん)のため何でもかくよ!と啖呵を切ったら「じゃあ沖田押せ押せの一番隊編、何ならエロで!」とスゴイリクエストが来たもんだから。
すごい迷走してる感が醸し出されてるけど、最初からこうなる予定で描き始めました(笑
沖田隊長には是非一回冷静になって彼女とのラブライフについて考えていただきたいwwww
美緒姉お誕生日おめでとうございました!