「よッしゃぁぁぁ!では、大きな仕事が一つ終わって纏まった金も入ったってことでェ・・・カンパーイ!!!」
「「カンパーイ!!」」
「・・・・みんな、どうしたの・・?」


鈴の音の響くような声。
その声の持ち主は、恐る恐る万事屋のメンバーを窺った。






*=*猫にも衣装*=*








つい先日、なかなかのお金持ちからの依頼で娘の彼氏の浮気調査を終え、今日はその打ち上げ、なのだが。
の目の前で乾杯をする万事屋3人組の手には高価なブランデー・・ではなくスーパーで安売りしていたリンゴの炭酸ジュース。
夕食も出前の寿司!ではなく新八お手製のシチューが美味しそうな煙を立てていた。
いや、文句はない。寧ろはこっちの方が好き。
けれど。

万事屋は金遣いが荒い。万年金欠だからこそ纏まった金が入ればここぞとばかりに贅沢を楽しむのだ。まぁだからこそ万年金欠なのか。
そんな彼らが大きな仕事を終えた乾杯をリンゴジュースで行う姿は、に違和感を感じさせた。


「くっくっくっ・・!それは明日のお楽しみネ!」
「感謝しろよォ―?俺達が贅沢を我慢するなんて相当なことだぜ」
「ふふ、言いだしたのが神楽ちゃんってところがまた奇跡ですよね」
「???」


訳も分からず頭を捻るを、銀時が抱き寄せた。
このお兄さんはリンゴジュースでも酔っ払えるのだろうか?
嬉しそうに頬を赤くしながらすりすりとほっぺたをこすりつけて来る銀時を見ながら、まぁいっか。わたしも新八のシチューの方が好き!何ていえば、新八が震えながら眼鏡を押さえた。




そして次の日。


「起きろ、
「ぅ・・?おはよーぎんちゃん・・」


ぺしぺしと頬を叩かれて目を覚ませば、目の前に銀時の顔。
よりも早く銀時が起きるなんて珍しいことこの上なくて、は目をぱちくりさせた。
いつもは隣で寝ているが布団から抜け出しても気づきもせず、時間があれば昼まで寝ているような男なのだ。

ちなみに、は退院してからは押し入れではなく銀時の布団で寝ている。
おかげで最近では夜もぐっすり眠れるため、目の下のくまも少しずつ薄くなってきていた。

訳も分からずせかされるままに水色のチャイナ服に着替え、居間へ行けば神楽と新八の姿。
「じゃぁ出かけるか」という銀時のセリフに彼らは嬉しそうに立ち上がり、は手を握る銀時に引っ張られるがままに万事屋を出ることになった。


どこ、いくの?


そう目線で尋ねれば、「内緒だよ」と新八に言われた。銀時と神楽はニヤニヤしている。
定春は留守番だからお散歩、というわけでもなさそう。
一体自分はどこに連れて行かれるのだろう?と思っては息を吐いた。
どこでもいいか。万事屋と、家族と一緒ならどこにお出かけしても楽しい。




ほぁぁぁ・・・・!
声は出さないまでも、は目をキラキラさせながら大きなため息をついた。

がうっとりと眺めるのは、デパート3Fの着物売り場・・・の向かいにあるじぇらーと屋さんである。


ご・・ごくり。
い、いちごじぇらー「ちげえー!!こっちこっち!!」


アイスは後でな、といわれて鏡の前に立たされる。
適当に服を当てられサイズを確認してから、神楽と一緒に衣裳ルームに放り込まれた。


「オイ早くしろよォ」
「そうですよ、男二人で衣裳部屋の前で待ってるの恥ずかしいですから」


「任せるネ!」なんて言いながら神楽の腕が伸びて来る。
訳が分からずされるがままになっていれば、しばらくして開かれるカーテン。
その向こうでこちらを覗いた銀時と新八は、おおー!!と嬉しそうに顔をほころばせた。


「いいじゃんいいじゃん、お前神楽やるな」
「これくらい当たり前ネ!」
「似合ってるよ、ちゃん」


頬を赤くして自分に笑顔を向ける万事屋に、つられても頬を赤くしながらくるりと振り向く。
大きな鏡に映った自分の姿を見て、その頬は更に赤味を増した。

いつもの水色のチャイナ服は神楽の手によって脱がされ、今は違う衣装が着せられている。
黒いレースの付いたチェックのワンピース。
鏡の向こうの娘はそれはそれは嬉しそうに、顔を赤らめていた。


「よーっし!銀さんも選んでこよ―っと」
「ぼ、僕も!見て来るから、着てもらってみてもいい?」
「銀ちゃんはどうせおっさんくさくなるアル。新八は、アイドルのプリントTシャツ持ってくるのがオチネ!この神楽おねーさまに任せとくがヨロシ」
「そうはさせるかっ」
「てゆーかおっさんと眼鏡が二人して女の子の服選別してる姿なんて、想像しただけでキモいアル」
「うるせェェェェ!!!」


ぎゃぁぎゃぁと相変わらず騒がしく、ばたばたと服を選んでいる万事屋のメンバーを眺めながら、は衣裳ルームの段に腰かけた。
服、買ってもらうなんて、選んでもらうなんて、はじめて。

遠くの星で毎日実験着を着せられたころが脳裏によぎる。
万事屋に来て、おねーちゃんからお古を貰った時でだってとっても嬉しかったのだ。


「なァににやけてんだァーこいつぅ。お前も選ぶんだよ、ホラ来い」


自分だってそーとーにやけてる癖に、そう言って銀時がの手を引く。
「お前今めっちゃニヤニヤしてるぞ、気持ち悪ぃ」なんて笑顔で言われて、そういうぎんちゃんこそ、すっごいだらしない顔。と心の中で呟きながら銀時の顔を指差せば、「ばれたか」なんて帰って来た。

えすぱーか、ぎんちゃんは。


「銀さん銀さん!このワンピース可愛いですよ」
「分かってねーなァ新八!もっとこう、ひらひらしたのがいいんだよ!」
「分かってないのは銀ちゃんアル!はもっと動きやすいのが好きなんだヨ!」
「・・ふふっ」


ひらひらのブラウスやらショーパンニーソックスやら、その後は万事屋三人によって着せ替え人形と化した。
最中3人はずっと笑顔で、見ているも嬉しくなる。
ふと、突然騒がしい音が止んだかと思えば、万事屋三人がの事を無言で見つめていた。


「おま、おま今喋ったよね?」
「うん、今、笑った!」
が初めて外で喋ったアルー!!」


持っていた服を新八の顔に投げつけ飛びついてくる神楽によろけながらも、はあったかい気持ちで泣きそうになった。
家族。
家族、かぁ。


あったかいなあ。





最終的に一番最初に着たチェックのワンピースを購入し、早速着替えてお待ちかねのじぇらーと屋さんへ。

「美味しい?」
「ん!」
ーそのイチゴ味銀さんにもちょーだい」
「あさましいにもほどがあるネ!、私のチョコミントと交換ヨ!等価交換アル!」
「うるせーよアルフォンスゥゥ―!!」


きゃぁきゃぁとはしゃぐ銀時と神楽に、ぽつぽつとながらも外で声を出し始めたに、
新八はくすりと優しく微笑んで、今度は皆でカラオケ行きましょうね、と言った。


ちなみにカラオケに行ったらの歌で直ぐに全員爆睡して歌どころではなかった。










1030hitすみれさまからのリクエスト、銀のスプーンでお買いもの、でした。
サイトを作ろうと思ったきっかけにもなった神サイト様からのリクエストで緊張・・はあんまりしてないけれど、心をこめて書きましたぁ。
等価交換は中の人ネタです(笑)。こんなものでよければ頂いてくださいませ。

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