ー一緒に酢昆布食べるアル!」
「うん」
ちゃん、神楽ちゃん、苺ババロア作って来たんだけど、食べる?」
「「食べる!」」
「うーす、ご主人様が抹茶チョコ買ってきてやったぞー。食うか」
「お、沖田さん?!いつのま・・「わああ食べる――ー!!」


・・・・・・え。









*=*猫と決闘*=*









・・・・・・・・・え?!


万事屋のメンバーはその場に凍りついた。
もちろん、総悟がいつの間にか上がり込んで来ていたことに対して、ではない。
、銀さんと一緒に苺チョコ食おうぜ!」なんてくだりを口にしようとしていた銀時もそのままフリーズだ。

な、なんで・・・


何でウチの猫が沖田総悟にこんなに懐いてるんだぁぁぁあああ??!!


い、いつの間に?!
なんて万事屋の心の中をばっちり読み取っている総悟はふふんと鼻を鳴らした。
天下の万事屋が油断たぁいけねぇな。
総悟はが入院中の時から懐かれるよう最大限の努力をしてきたのだ。
全治3週間の入院中には2日に一度は必ず顔を出し、退院してからもちょくちょく万事屋に顔を出して手なずけている。

はようは猫と一緒。
最初からいじわるすれば永遠に懐かないが、顔を出したり優しくしたりときちんと懐いた後ならば、少しくらい悪戯しても嫌いにはならない。
自分は最初の段階でひと悶着あったがために時間がかかってしまったが。

「久しぶり、そーご。元気だった?」
「おう。そっちこそかわりねーみてーだな」

そ、そーご?!
目を丸くする万事屋を一瞥して、総悟はとてとてと走り寄って来たの頭を撫でてやる。
鈴の音の響くような可愛い声で、俺の名前なんて呼んでくれちゃって。
総悟は目だけで万事屋に吐き捨てた。
・・・あんま油断してっとォとられちまうぜィ?


総悟から抹茶チョコを貰い、もくもく口を動かしながらてってってっと銀時の下に走り寄って来る

「ぎんちゃん、そーごからチョコもらっちゃった!」
「知らない人から食べ物貰っちゃいけませんんんん!!!」

う、うえええ・・??
突然ガバッと抱きつかれたは目を丸くする。
知らない人って・・・総悟は自分よりも前からの銀時たちの知り合いではないのだろうか。

「おいテメェェェガキィィィ!!!いつの間にとそんな親しげに会話するまでになってんだよォォォ!!」
「誤解でさァ旦那。俺とはとっくの昔から仲良しですぜ。なぁ?」
「うん?・・・・・うーん・・・」

・・・待て、何故そこで微妙な返事だ。総悟は心の中でツッコんだ。(神楽に爆笑された)





「何か誤解してるよーですが、旦那らはコイツの家族でしょう?友だちの一人や二人出来たくらい優しく見守りましょーや」
「相手にもよるわっっ!!!」
「ぼーいふれんどの一人や二人できたくらい優しく見守りましょーやァ」
「うっとおしい変換して言いなおすなァァァァアアア!!!」
「銀ちゃあん!!!この腐れドSのがきんちょに思い知らせてやるアル!!を本当に理解してるのは私たちネ!!」
「ああ!もちろんだ神楽ァァ!!沖田総悟・・・・・いざ尋常に、」
「「勝負!!!」」
「・・・いや、なんの?」

新八の呆れたようなツッコミが、万事屋の居間にさみしく響いた。

「箱入り娘じゃあるまいし、ちゃんが家の外の人と仲良くする事には僕は賛成ですけどねえ」
「おー!眼鏡、アンタなかなか話しの分かるやつじゃねーか」
「何ィィィ!!新八!貴様!裏切るのか!!」
「イヤ意味わかんねぇよ。沖田さん、大前提としてですが、ちゃんに近づいて何か変なことさせようとか思ってないでしょうね」
「まっさか」

ほほう。総悟は感心した。
案外この眼鏡が一番万事屋の中で大人なのかもしれない。の将来を素直に案じて、それでいて総悟に釘をさすことも忘れない。
それに比べて。
を庇うようにガードを繰り広げる銀髪の男とチャイナの女は「ふしゃー!」と毛を逆立てていた。



「よおしィ、第一回、どっちがを分かってるでしょーか対決ゥゥゥ」
「ルールを説明しようぅぅ、これから銀ちゃんとドSに、が喜ぶであろうプレゼントを用意してもらうぅぅ。タイムリミットは日没。どっちが用意したプレゼントの方がが喜ぶかを競うのだぁぁぁ」
「ちょ、ちょっと待ってよ神楽ちゃん!そんなのどう考えても銀さんが勝つに決まって・・・」

そうなのだ。目の前にいるこの銀髪テンパの侍は、今では自分や神楽以上に万事屋の猫が何を考えているのか手に取るように見抜くことができてしまう。
少し懐いたくらいの総悟は明らかに不利。
別に総悟を応援するわけでもないが、あまりのアウェーなルールに抗議を申し立てた。
そんな新八の肩を、ぽむ、と総悟が掴む。

「かまわねェさ。・・審判、よろしく頼むぜ、義弟(しんぱちくん)!」
「オイィィィ待てェェ!何で近藤さんに続いてアンタにまで義弟って呼ばれにゃならんのだァァ!」
「そうか・・・そうなると近藤さんは、義兄ってことに」
「ならねェよ!!いらないよそんな変な兄二人も!!」
「始めェェェ!!!」

かぁぁぁんん!と神楽がキッチンから持ってきた鍋を叩いた。





対決開始の合図が鳴った後、銀時は社長椅子にどさり、腰かけたきり、そのまま動こうとしなかった。

「旦那ァ、何が欲しいとか聞いたりしないんですかィ?聞くのはルール違反?」
「いやァ?別に聞けばいいんじゃね?でも銀さんは聞かなくても分っかるけどねー!」
「・・・・そーですかぃ」

総悟にも分かっている。悔しいがこの男以上にの考えを分かっている人間などいないだろう。
前に総悟が初めてにチョコを上げた時、こくり、とが喉を鳴らしただけで『おかわり』を欲しがっていることを見抜いたのだ。
が欲しいものも寸分違わず理解しているだろうし、それを総悟が聞き出せたとして、銀時と自分、どちらから貰いたいかと問われれば、の答えは決まっている。

・・・どーせ苺チョコなんだろィ。

銀時がにごにょごにょと耳打ちすれば、はとてとてと総悟の方へ寄って来た。
「銀ちゃんがそーごとお話しして来いって」

へーへー、そーですかィ。ハンディのつもりなのだろーか。敵に塩送って来やがって。
とはいっても総悟にはが貰って喜ぶものなんて想像も出来ない。
いや喜ぶものはなんとなくわかるかもしれないが、銀髪の男が持ってくる物よりも、と言われると、そんなものが存在するのかどうかも怪しいくらいだ。
ソファへ向かうのも面倒だったのでその場で腰を下ろすと、隣にもちょこんとしゃがみこんだ。


「・・・パンツ見えてる」
「わあ。ごめんなさい」
「その服どーした?買ってもらったのか」
「うん!万事屋の皆がね、わたしのために選んでくれたの!」

鈴の音が響くような声で嬉しそうにはしゃぐを見ていると、総悟でなくても優しい気持ちになるだろう。
が着ているのは総悟がいつも見ている水色のチャイナ服ではなく、黒のレースが付いたチェックのワンピース。
わいわいぎゃぁぎゃぁと万事屋のメンバーが騒がしく服を選んでいる光景が目に浮かぶ。
この娘は万事屋の事が大好きなのだ。それはさすがに総悟にも分かった、し、それでいい、とも思った。
じいっ、と総悟はの顔を見つめる。「なんか欲しーもんねーの?」

「いきなりいわれても、困っちゃうよ」
「ま、そーだわな」


ふと、本当にふと気になったので、総悟は唐突ににきいてみた。

「なあ、俺のこと嫌いかィ?」

この質問は実は前にも聞いたことがある。「きらい」と即答されてしまったが。
「すき」と言われたい訳でもなかった。寧ろ「すき」なんて言われたら逆に総悟の気持ちがなえてしまうところだったかもしれない。
男と言うのは追いかけるのが好きな生物。そして総悟は特に。
・・・自分に忠実な僕に調教する過程が面白いのであって、既に従順になってしまった女になど指して興味はないのだ。
じゃぁ、一体何と答えて欲しかったのか。それを考えることすらも放棄して、総悟は目の前の娘の答えを待った。

は。
一瞬だけ目を丸くして、そのあとぷふっ、と噴き出した。
くすくすと笑い声。総悟には何が言いたいのかさっぱり・・・・


「きらい。ばかどえすぅ」
「・・・・・・・・」


・・・・・・・、・・・・・・・。
ぐぐ・・・・と拳に力が入るのを感じた。肩がふるえる。
心臓を、ふわっふわの猫じゃらしの玩具でこしょこしょとくすぐられまくっているような、そんなくすぐたくて仕方がない感触。
くすぐたい。顔がにやける。いやがまんがまん・・・。


だ、だいすき、って、聞こえた。いま。


実際は全く逆の事を言われたのだが。なんだか無性にそう聞こえたし、それで正解だと理由もない確信があった。
・・・旦那のテレパシーみたいなやつももしかしたらこんなよーな感じなのだろうか?
総悟は立ち上がる。
この娘と自分はひねくれ者どおしどこか似たところがある。だからだろうか。

「そーかィ、じゃー一緒だな。俺もお前の事きらいでェ」
「ふふっ、一緒だね!」

にもちゃんと伝わったよう。それが嬉しくて。
総悟はにやりとに笑いかけた後、出口へと足を向けた。


プレゼント、きぃーめた!







夕暮れ。ここ万事屋の居間には、今にも沈みゆく太陽の光が優しく差し込んで、そこにいる人間たちの顔をオレンジに染めていた。
銀時と総悟が並んで立ち、二人の前にはそれぞれが選んできたへのプレゼント。
銀時の前にはもちろんキューブ型の苺チョコが置かれている。
総悟の前には・・・・、
・・・万事屋のメンバーは大きく目を開いた。この男がこんなものを用意してくるとは。

総悟が用意してきたものは、銀時と同じくチョコレートだった。しかしキューブ型ではない。
まるでバレンタインの手作りチョコのような。
猫の形にかたどられたそれには、ピンクのチョコペンで「」と書かれていた。
明らかに手書きのその文字に、銀時も驚きを隠せない。

この男が、他人のために手作りのものをプレゼントするとは。

普段からは想像も出来ないようなさわやかな笑顔で、総悟は微笑んだ。「さあ、選んでくだせぇ」


しかし、総悟も最初から分かっていた。こちらをちらちらと気にしながらも、最終的には銀時のもとへ駆け寄った。
銀時がよしよしと頭を撫でてやれば、は本当に幸せそうに頬を緩ませ、すりすりと銀時の腹に頭を押し付けた。
うん。分かってた。
は総悟の事が嫌いというわけではけしてないが、世界がどう転んでも一番は「ぎんちゃん」なのだ。

「ふっ・・・完敗ですぜ、旦那・・」
「いや、正直俺もお前の事なめてたわ・・・いい勝負だった」
「あっ、ま、まって!」

帰ろうと背を向けた総悟を、鈴の音が響くような声が呼びとめる。
ぎゅうっ、と銀時の腰にしがみつき、あのね、と訴えるように銀時を見上げる。
銀時はふっ、と笑った。こりゃぁもしかしたら僅差だったかもな。

「沖田君、お前のプレゼントも欲しいってよ。折角だからやってくんない?」
「・・・・いいんですかぃ?」
「ほれ、貰ったらちゃんとお礼言うんだぞ」

ててて・・・とが総悟へかけて来る。
銀時も、この時ばかりは神楽も。が仲良しの友達からチョコレートを貰う様子を、ほほえましく眺めていた。
「・・・まずくても吐きだすんじゃねーぞ。一口で食えよ」
ふんっ、と頬を赤らめてずい、と差し出されたチョコを、「うん!ありがとう!」とは笑顔で頂いて、ぱくり、と一口で口に含んだ。
へへ、と照れくさそうに笑いながら、総悟がの頭を撫でてやる。万事屋の中にほんわか暖かい空気が流れた。

一人の男をのぞいて。

・・・・・・え。何かこれ、おかしくね?
その男・・・志村新八は理由もわからない胸騒ぎにおそわれていた。
総悟が手作りのプレゼント?あの、勝つためには手段を選ばないような男が?大人しく負けを認めるだろうか??
そして、万事屋一番の常識的な大人の思考を持つ彼の嫌な予感は、見事に的中してしまう。


「うッ・・!!!」


突然が胸を押さえてうずくまった。「大丈夫ですかィっ」なんて言って総悟が抱き起こす。
慌ててほおばって喉にでも使えたか、と銀時と神楽は笑っているが。
ち、違うだろう。ヤツの顔をよく見てみて欲しい。

に や り ・・・

ようやく異変に気付いた銀時たちが身構える。「なんだなんだ?!テメェ、に何をした!」


「甘い・・甘いですぜ旦那ァ・・・甘過ぎて糖尿病になっちまわァ!」
「なっ、何だとォォォ!!!」

大人も泣いて逃げ出すような、悪魔のような黒い笑みを浮かべて、総悟は声をあげて笑った。
そうだ、そうだった。総悟と銀時が戦うと決まった時から勝者が銀時だと分かっていたように。
最初からわかりきっていた。
この男は。


「ちィと盛らせて頂きやしたぜぇ・・・なァに毒じゃねェ、ちょっとした・・・・惚れ薬をなァァァア!!!!」
「なっ、何ィィィィィいいいい!!!???」
「第二ラウンドといきやしょうぜィ、旦那ァァ!!!」


に好かれることを目的としているのではない、で遊ぶことを目的としているのだ!!!

「ちなみにあのチョコは、市販でぇッ!!」
「ちょおおおおまあああああああ!!!」


店員さんに書いてもらいました。











はい、お疲れ様でしたー!2020hit優唯さんからのリクエストで「総悟vs銀さん」でしたー!

「あ、店員さぁーん。手作り感出したいんでえ、ちょっと拙い感じで名前書いてもらえますかぁ」
手作りですらないという罠。

ねこが書く総悟は時々(いつも?)キャラ崩壊します。
しかし行きすぎたキャラ崩壊はフェイクだったりするので、判別が難しいところです。
こんなものでよければ貰ってやってくださいな!大好きなゆいちーに捧げます!

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