カチカチカチカチカチ・・・・・

「オイィー。携帯ばっかいじってねーで銀さんの相手もしなさい」
「・・・・んー、・・」
「つか何だソレ。なんでお前携帯なんて持ってんの?」
「そーごが、くれた」

ぱたん、いじっていた携帯を畳んでが銀時を見上げる。
ハアァ?そーごぉぉお??

「何あのクソガキいっちょ前にケータイなんて持たせちゃってんの自分専用、みたいなァ?ムッカつくぅぅ」
「そんな物今すぐ捨てるネ!どうせお子様に持たせる用の機能で現在地常に把握しとく的なアレネ!キモっ!!」
「現在地くらい、いいよ。どうせほとんどウチにいる」

しれっとそんなことを言ってのけるに、銀時と神楽は一筋汗をたらしながら目を合わせる。
まずい、やはりあの男を野放しにしておいたのは危険だったか。
携帯電話なんて遠距離での連絡ツールを持たされて、知らない間に何をふきこまれることか、何色に染められることか!
深刻な顔で目で会話する二人の後ろで、新八はため息をついていた。

あの男はなかなか尻尾を見せない疑り深い人間だ。気づいた時にはもう遅い。
今回も・・・・既に手遅れだろう。なにが、かは知らないけれど。

「オラ見せろ!!友だちとどんな会話してるかメール見せろ」
「だめよぅ、怒られる」
「んだとコラァ!!銀さんに反抗するのか!お前!そーごと銀さんとどっちが大事なんだよ!!」
「イヤ銀さんどこの我儘な女ですか」
「そんなの、もちろんぎんちゃ・・・あ、メール」
ーーーー!!!!」

ぶるぶると震えるポケットから再び携帯電話を取り出して開く
もう銀さん知らないからっ!なんてわざとらしく泣きごとを言って、銀時はソファーに泣きながらダイブ。
そんな銀時を新八と神楽は、僅かに軽蔑すら入ったような憐みを込めた目で見やって、大きく息を吐いた。

メールの返信を送信し終えたは、コトリ、と携帯を社長机の上に置き、その後とてとてと銀時のもとへとやって来た。
「ごめんねぎんちゃん。そーごよりぎんちゃんの方が好きよ、一緒にTV見よ」
なんて鈴の音の響くような声でささやかれて、銀時はソファーにうずめていた顔を上げる。

「おねーちゃんとしんぱちも大好きよ」
「ふふ、ありがとうちゃん」
「知ってるアルそんなこと。、そんな死んだ白髪置いておいて私と新八の間に座ってTV見るアル」
「だーめですぅー!は銀さんと一緒にTV見るんですぅうう!」

急に元気になった銀時が起き上がって後ろからを抱きしめる。神楽と新八はあきれ顔。
ふふん、と鼻を鳴らして、を膝の上に乗せ、意気揚々とTVの画面を覗き込んだ銀時はその状態で凍りついた。


『夏特番・恐怖!!世にも怖ろしい心霊話スペシャル』







**犬猫は霊感あるって言うし**







『写真のココを見て下さい。まるで子供が大きく口を開けているような・・・・』
『これは幼い子供の霊があちらの世界へ引きずり込もうと・・・・』
「本当だ、そう見える。怖いねえ」
「うん、ねー、ぎんちゃん」
「はははははァァア?な、なななに言ってんの?おお俺には何も、見えないけどォ?たっ・・ただの集合写真だろォお」

膝に乗せたをさりげなーく抱きしめながら、裏返るすれすれの声で銀時が返す。

「違うアル。この霊はきっとあちらの世界へ引きずり込むとかじゃなくてお腹がすいてるネ」
「よし、神楽!それ採用!そそ、そーだよ、あちらの世界ってなんだよ、なァ?」
「飢えた悪霊がこの男を頭からパクリと飲み込む瞬間ネ!」
「キャアアアアアアアア!!」

突然奇声をあげた銀時に、新八、神楽、は耳を塞ぐ。
3人に揃ってじと目で睨みつけられた銀時は、赤くなって青くなって慌てて立ちあがった。

「チャンネル変えろ」
「イヤアル。私これが見たいアル」
「じ、じゃァ寝る!!」
「まだ9時ですけど」
「いいんだよ!オイ、行くぞ」

ぽむ、と肩を掴まれて、はくるり、と銀時を見上げた。

「え、私も?」
「どーせ銀ちゃんこんなの見た後で一人じゃ怖くて眠れないアル!だからも連れて行こうとしてるネ!バレバレアル!」
「ちっ、チゲーよ!これはだな、ホラ、寝てる時に後からごそごそ隣に入って来られるのが嫌だからだよ!!」
「銀さん・・大人げないです」

うるせェェェェ!!お前らにとっては大したことなくてもなァ、銀さんにとっては死活問題なんですううううう!!
そう心の中で叫びながら、を見る。
は銀さんの言う事聞いてくれるよな?一緒に寝てくれるよな?お願い、苺チョコあげるから!!
しかし、当の本人はと言うと、僅かに眉を寄せて、困ったような顔で銀時を見上げた。

「でも、私も続き、気になる・・・」
「ちょおおお前ェェェええ!!裏切るのか!俺を裏切るのか!!」
「えぇ・・?どういう事・・」

半泣きになりながら強くの肩を揺する。新八神楽がどん引きの表情で睨みつけて来るがしったこっちゃない。
幸い今はCM中。何としてでもこの間にを説得させてベッドに引きずり込まなくては!

「いいから来い!来なかったらお前ぇ・・・・も、もう一生一緒の布団で寝てやらないからな!」
「えっ、それは、困る・・・」

予想通りはハッとした表情で立ちあがった。ホレ見ろ俺の手にかかればチョロイもんだ。
新八と神楽がもはや軽蔑するような瞳で見下してくる。
知るか知るかァァ!は今から銀さんと一緒に寝るんですうう!
しかし、立ちあがったは困った顔のまま動こうとはしなかった。
「困る・・・けど」がゆっくりと口を開く。・・・・けど??


「ぎんちゃんが嫌なら・・・我慢する。今日から一緒に、寝ない」


ええェェェェェェエエエエエ!!!!??

「おねーちゃんのところで寝る」
「え?え??べ、別に俺嫌とか一言も言ってないんだけど」
「だって、こんな些細なことで一生寝てあげないっていうくらいだから、ぎんちゃん、ずっと我慢してきたんでしょう?」
「何言ってんのお前ェェェ?!」
「ごめんね・・ぎんちゃん」

そこで銀時はハッと気づく。
は困った顔をしながらも、口元は、笑っていた。


「明日から・・・イヤ、今日から、一人で寝て下さい」


ぎゃああああああああ!!!

心の中で悲鳴を上げたのは、銀時と・・・新八である。
神楽はニヤニヤしながらに乗っかって、そーだよお前大人だろォ一人で寝ろよォォ、なんて言っている。が。
が!!!
この手口、この方向性、この、匂い・・・・!!!

完全にくそ馬鹿ドSに染められているううううう!!!影響受けまくってるううううう!!!
ちくしょう一体いつの間にィィィ!!
いや、ていうか今一番問題なのはそこじゃない。

一人で寝ろだとォォォ!!?お前、それ、お前、輪ゴムをつなげたものを命綱にして学校の屋上からバンジージャンプしろって言ってるようなもんだぞォォォオオオ!!!
冷や汗をだらだらと垂らしながら銀時はをみた。え、なんでお前いきなりそんなドSちっくなの?そんなキャラじゃないでしょう?

・・・お、お前、銀さんの事嫌い?」
「えっ・・!そんなことない・・!大好きよ・・?本当よ?」

そんな不安げな顔で、透き通るような高い音で言われてしまっては、返す言葉もない。

「わたしは、ただ・・・」

「ぎんちゃんと、この『夏特番・恐怖!!世にも怖ろしい心霊話スペシャル』を一緒に見たいだけなの・・ねぇ、見よ?」
「嫌がらせ以外の何物でもねーよその願望ォォォオオオ!!!!」

万事屋銀ちゃんに悲痛な叫び声がこだまし、結局銀時はを抱きしめながら番組を最後まで見ることになった。





午後11時。番組も終わり新八も帰宅し、待ちに待ったお布団の時間。
否。待ちに待っていたのは数刻前までの話。結局心霊番組を最後まで見てしまった銀時にとって暗闇で一人静かな時間はもはや恐怖。
番組は、どうせ全部ヤラセのくせに妙に凝っていて物凄く怖かった。
一番怖かったのは携帯電話にあの世から電話がかかってくる話。非通知の公衆電話からの着信に出ると、知らない子供が笑いながら自分の名前を呼んでくる、というもの。
ぶんぶんと頭を振って、リピートされる公衆電話の話のダイジェストをかき消す。
神楽と風呂に入ってしまったが帰って来るのが超待ち遠しい!!早く、早く帰ってきて!銀さん恐怖でおしっこちびる。
布団の上に胡坐をかき、必死に別の事を考えて気を紛らわそうとしていると、どこかからかすかに音が聞こえてきた。

♪どぅるるるるっどぅるるるるっどぅるる〜

「え・・?」

♪どぅるるるるっどぅるるるるっどぅるる〜

「ちょ・・ちょっと待てよ、このメロディーは・・・・?!」

世にも奇妙すぎる物語的なメロディーは、銀時のすぐ後ろから聞こえてきた。音量がどんどん大きくなる。
居間のTVの電源はちゃんと切ったはずだし、もう番組も終わったはずだ。そもそも、音の聞こえてくる方向も居間とは違う。
嫌な汗を全身にびっしょりかきながら思い切って振り向けば、銀時の後ろでの携帯電話が光っていた。

な、なんだよう!!驚かせやがって、着メロか!つか!なんつー音楽着メロにしてんだあの娘!
どうせ総悟からだろうと思って携帯の画面をちらりと見た銀時は凍りついた。

『lnkjうぇはfwp さんから着信です』

もっ、文字化けしてるんですけどォォォォオオ!!!!
なに?なに!?バグってんの?!ケータイってバグるの?!

着信は終わらない。しかし取るわけにもいかず、銀時は両手で耳を塞ぐ。
こえーこえーこえーこえーこえーこえーこええええええ!!!!
カタ、と音がして弾かれた様にそちらを振り向けば、パジャマに着替えたが立っていた。着信音は、消えている。

!こっちおいで!」
「うんっ、ぎんちゃん?どうしたの?」
「どうしたの、じゃねぇよ!お前の携帯!何であんな着信音にしてあるワケ!!」
「着信音?」
「あと誰lnkjうぇはfwpさんってェェ!!」
「え?なんて?誰?」

ぎゅう、と抱きつかれた状態でが首を捻る。わたし着信音なんて設定してないよ。
は?!そんなバカな。そう思ったところで、ブルブルとバイブが振動した。

「こんな感じ」
「マテマテマテ。じゃぁさっきのは?!てかこんな時間に電話かけて来るたァ何考えてんだドSのガキは」
「あれ、公衆電話・・?」

公衆電話。ぎくりとしてが持つ携帯の画面をちらりと見ると、『非通知公衆電話』の文字。
フラッシュバックする番組の内容。
あの世からの電話を取って名前を呼ばれた人間は、あちらに連れて行かれてしまうという・・・
ぎやああああああああ!!
通話ボタンを押して出ようとするから携帯をはたき落す。

「どうしたのぎんちゃん」
「バカヤロー!あの世に連れて行かれるぞ!!」
「・・・あれは作り話よ?」
「・・・・・わ、わかってるよ!!銀さんだって分かってらァ!そんくらい・・」

びくりと体をこわばらせる銀時。自分との間に落ちた携帯電話を見れば「通話中」の文字。
し、しまった!はたき落すときに通話ボタンを誤って押していたのかァァァァ!!!!
あれは作り話あれは作り話!!!そう思いこんで、銀時はおそるおそる携帯をつまみあげた。

「も、もしもーし・・・お、沖田君?あの、ウチの子とこんな時間まで電話やらメールやら、困るんだけどォ・・・」
「きゃはは・・ふふっ・・あははははっ・・」
「・・・・・・・」
「ねぇ、おにーさんも一緒に遊ぼうよ」

「ぎんときおにーさん」

「きゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「ぎんちゃ・・わぷっ!」

盛大な悲鳴を上げながらにしがみついたまま布団にもぐりこむ。
いつも優しくて頼りになってかっこいい銀ちゃんは、にがっしりしがみついてガクブル震えていた。
放り出した携帯がの頭の横に落ちる。
『大丈夫ですかィ?』なんて聞こえて来る携帯電話に向かって、はくすりと笑って「多分」と返した。

『てゆーかいつも旦那と寝てるんですかぃ』
「そーよ」
『ふーんお熱いこって』
「羨ましい?」
『アホこけ』
「今度一緒に寝てあげる?」
『・・・・マジですかィ。是非』
「ぎんちゃんが良いって言ったら」
「ふっ・・・・ざけんなァァァこの悪ガキ共がアアアアアア!!!!」


携帯電話を粉々に粉砕した挙句、には罰として銀時が寝るまで(銀時の)頭を撫で続ける刑が課せられたという。






3333hitリク銀のスプーン番外編。
なんかまとまりのない感じになってしまいましたが(汗
本編ではあまり活躍の場がなかった総悟が中々番外編では出て来るという。
流石出番キラー。

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