「あーもー!アンタ本当に、良くこんなんで戦おうなんて思いましたね!打ち身だらけ!!」
どっか痛覚に障害でもあるんじゃないですか。
そんなことを言いながら総悟の腕に湿布を貼り付けた山崎は、呆れたように一息吐いて、たくしあげていた隊服の袖を下ろした。
「終わった?」
「終わってねーよ。その分だとお腹に背中に青あざだらけでしょうアンタ」
山崎の説教を苦々しく聞き流す。そりゃ瓦礫に埋まりましたからこっちは。
寧ろよく生きてたなって褒めてくれてもいいくらいだ。
ため息をひとつついて見つめる先にはと銀時の姿。
もともと道路のわきの植木だった部分に、爆発したビルの残骸が飛び散って瓦礫の山と化しているところに二人して腰かけている。
はその頬を染めながら、ちらちらと銀時を伺い見て、目があったと思ったら俯いてしまう。
でもしばらくしたら再びちらちら銀時を伺って、の繰り返しだ。
そして、それを見つめる銀時の表情は穏やか。
・・・・・あーあ。
「いでえ!」
「あっとすいません。でもよかった、ちゃんと痛覚あって」
「つかおめーみてーなジミーじゃなくて俺だって女の子に介抱されてーや」
「しょーがないアルなァ。特別に5万でいいアル」
「テメーじゃねーよ空気読めよテメーじゃねーよ、つか金とんのかよ!」
ぷくくっ、と口元を押さえながら、蔑むような目で見降ろしてくるのは、隣で新八の掌に包帯を巻いてやっていた神楽だ。
にこにこしながら歩み寄って来る神楽は、それでもその手にある包帯の持ち方がそもそも可笑しい。
どこをどうしたら包帯をそんな必殺仕置人みたいな持ち方が出来るのか。
と、突然だだだだっと何かがかけて来るような気配を感じた次の瞬間。
風のように現れた小さな黒い影に思いっきり体当たりをくらわされて、総悟は情けなくも声を上げる。
今折れた、ぼきって言った、肋骨あたりがいった!
そんな彼の心の内など露知らず、突然現れた黒い影・・・は、ぴくぴくしながら動けずにいる総悟にしがみつく力を強めた。
「そうご!そうご!あのね!そうごのおかげよ、ありがとう」
・・なんか今ヘンな音聞こえたアル・・うん、そうだね・・隊長ォォォ!!
なんて、周りが騒がしく鳴く中で、ゆっくりと腹の上に乗るねこに、総悟は大きくため息をついて、その頭を撫でてやった。
「・・・・な。俺の言った通りだろ」
そう言った彼の表情に、一瞬だけ山崎も神楽も新八も口をつぐむ。
撫でられた猫は嬉しそうに視線を細めてはにかんだ。
「うん!さすがそうご!」
「」
特別な声が、特別な音となって響く。
しかしそれはの中だけで、他の人間達にはただ単に白髪のおっさんのやる気のなさそうな声が響いただけなのだけれど。
くるりと振り向いたは、嬉しそうにかけていって、その腹に飛びついた。
「ぎんちゃんっ!」
特別な声が、特別な音となって響く。
今度は、その場にいた誰もがそう感じた。
「いい女になるね!」
「おう、楽しみにしてるわ」
「ぎんちゃんはそれ以上良い男にならなくていいよ」
「なんで?」
「・・誰かに取られちゃう」
・・たくお前は・・。どこでそんな言葉を覚えて来るのか。
「これからはもう沖田君と二人で遊んじゃ駄目だからな」
「「ええっ」」
「・・タダでは。ちゃんと金とれよ」
「わかった!」
「えええっ?!」
「一時間一万くらいか」
「高ェ!!」
どっとわき起こる笑い声の中で、きらきらと鈴の音が跳ねた。
雲ひとつない青空。
ここ万事屋では、
じゅーじゅーと新八がベーコンを焼く音と、
はぐはぐと神楽がやった餌を定春が頬張る音と、
「♪、♪、♪」
「・・あっちィィィィィイイ!!」
だ、大丈夫?
眼を丸くしてこちらを見て来る猫を苦笑いで見つめながら、新八はカチリと手もとのコンロの火を消した。
シンクの蛇口をひねって、出てきた水に患部を浸す。
「ちゃん・・・手伝ってくれるのは嬉しいけど、鼻歌はちょっと・・・ついうとうとって、手元が狂うから・・」
「ご、ごめんなさい」
「いや、だいぶ慣れてきたからいんだけどね・・」
「しんぱちしんぱち、包丁使うから、見てて」
そんなことをが言うもんだから、「ハイハイ」と指先を流水に浸したまま新八はそちらに顔を向ける。
シンクの横では、が包丁片手に、決死の表情でいざ死闘を繰り広げようとしていた。
「んっ・・・・ん!」
「だいぶ慣れてきたね。・・タコさんウインナー?」
「うん!ぎんちゃんのだけ特別!」
「ふふふ、そっか」
おっかなびっくりでも何とかタコさんの足を切り終えたが、ふう、といって額の汗をぬぐう。
そんな時、後ろから現れたのは神楽だった。
「あー!ずるいアルっ銀ちゃんばっか!おねーちゃんは特別じゃないアルかっ!」
「ちょっと神楽ちゃん」
「えへへ、じゃーおねーちゃんはウサギさんウインナーにしてあげる!特別ね!」
「おおー!流石アルっ!銀ちゃんにはもったいないネ!」
「あ、でも・・・それじゃぁしんぱちが仲間外れになっちゃう・・」
「イヤ、気にしなくても僕は良いよ・・」
「メガネさんウインナーとかないアルか?」
「どんなウインナーさんだよ?!」
「あっそうだ!」
はウインナーを4つに輪切りにすると、二つずつをつまようじに刺す。
「これでメガネさんウインナー!」
幸せそうな笑顔でこちらを見上げて来るに、新八と神楽は眼を合わせて・・・・、
・・・こちらもにっこりと笑みを返した。
「ほら、焼くのはやっといてあげるから、銀さん起こして来て」
「そうヨ!折角が作ったウインナーさんが冷めてしまうネ!」
「はあい!」
雲ひとつない青空。
ここ万事屋では、
たったったったったったったったったっ・・・・・
ばふっ!
「ぎーんちゃーあーん!!朝だよ!起きて起きて!!」
今日も、
鈴の音の響くような声。
=誰が為に鈴は鳴る=
end
最終回です。お疲れ様でした><
桂さんに高杉さん、オリキャラまで出てきて豪華なお話に。
でも微妙に回収しきれなかったフラグや伏線もあるようなないような。
そんな裏話はブログにぶちまけるとして・・。
本当に、ここまで応援ありがとうございました!
2012/1/16 管理人:ねこ
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