ガンガンと耳元で鐘を鳴らされる感覚を覚えながら、は眼を覚ました。

見知った畳、見知った天井。しかしながら自分がいつも生活している空間とは微妙に違う空気を感じ取り、は辺りを見回す。外はまだ暗い。
ふと、神棚に刀が置かれているのに気づいて、やはりここは自分の部屋ではないのだと確信する。

では誰の部屋か?
鳴りやまない頭痛に顔をしかめさせ、頭を押さえようと思った手はピクリとも動かない。
かわりにぎしりとなったかすれるような音と軋むような痛みに、は短く息を吐いた。
今しがた気がつくまでは気を失っていたはずなのに重力の方向に違和感。
は立った状態のまま、柱に縄で括りつけられていたのである。
そして。

こんなことする人は一人しかいない・・・
が短くはいたため息にこたえるように、この部屋の主人が襖を開けて帰って来た。

「よォ。眼ェ覚めたかぃ」
「沖田・・さ、毒盛るとか、あ、ありえないんですけど・・」

自分の中にある最新の記憶をたどる。
旨い和菓子が手に入ったから、一緒に食べやしょう。そんな誘いにのこのこついて行った先がこれだ。
確かに和菓子は旨かった。そして笑いながら総悟も一緒に食べていたのだ。
そうなると、盛られたのは一緒に出されたお茶の方か・・・。
まだ僅かにしびれと頭痛が残る体を動かそうとすれば、総悟が息だけで笑う。

「心配しなくても。そんな体に害のあるような毒じゃねぇや」
「害・・あり、ますっ。体、痺れてるんです、けど」
「おーそりゃァ大変だァ」

わざとらしく、全く心配していない声で大丈夫ですかィなんて言いながら総悟はゆっくりと襖を閉じた。
それによって唯一の外との接点が絶たれたような気がして、はなんだか怖くなる。
何だかこの部屋だけが、いつもが生活している屯所からかけ離れた場所であるような気がして。







**飼い猫の耳元で残酷な愛を叫ぶ**






ゆっくりと歩いてきた総悟がの目の前で止まる。
その顔がいつも以上に何を考えているのか分からなくて、はごくりと唾を呑んだ。

「どういうつもりですか。いつもの悪戯なら、もう満足でしょ?解いてください、ね?」
「アンタがのこのこ俺の部屋に入ってくるのが悪いんでぇ」
「あ、あの?沖田さん、解いてください」
「やなこった」
「ひぁッ」

総悟がの顎を掴み、その唇をべろりと舐め上げた。
慌ててぬぐおうにも、両手は後ろの柱に回されてしっかり固定されてあるため動かない。

「な、何ですか、何ですか?やめてください。沖田さ・・」
「黙りなァ」

顎を掴んだ手に先ほどより力を込めながら耳元で強く囁けば、は言葉の先を息と一緒に飲みこんだ。

「んぅ?!!」

耳元で囁いた体制はそのまま、ずるりと総悟の舌が耳へ入ってくる。
鼓膜のすぐ近くでくちゅくちゅと唾液のこすれる音がして、は震えながらギュッと目を閉じた。

「ぅ・・・ん、くっ、ぅぁ・・・!」

総悟はたっぷり時間をかけて耳内を犯すと、じゅる、と舌を引き抜き、耳元で笑った。

「なに、反応してんの?」
「ち、ちが・・」
「オイ、眼ぇ開けろ」
「ぅ・・」

顎を掴んでいた手をずらされぐいと首を掴まれ、ひゅっ、と喉を通る呼吸が掌握される。
眼を開けた先に映った総悟の顔は、口角は上がっていたが、眼は完全に笑っていなかった。




背中に回された総悟の指先がごそごそと動けば、ぱさり、と音を立ててイヤにあっさり帯が落ちる。
その間も突き刺すような総悟の視線はから外されることはなく、は恐ろしくて直視する事が出来なかった。

「どうしやしたぁ、黙っちまって。そんなに怖えのかい可哀そーにィ」
「・・・・・・」
「ほぉれ、抵抗しねーと最後までやっちまいますぜ」
「や・・・め、て・・」

かたかたと震える喉からそれだけ絞り出すと、総悟はにんまりと口元を歪ませた。
笑っているのに、何を考えているのかさっぱり分からない。
はだけた着物の襟から手を滑り込ませて胸の先を弄る。もう片方のそれを舌先でもてあそびながら、楽しそうに総悟はを見上げた。

「ほォー・・。やめるって、何を?」
「・・・そ、れ・・」
「それって、どれ?」
「・・さ、触らないで・・」
「触る、どこを?」
「う・・・」

どこの事ですかィ?なんて喉で笑いながら、片手の爪をその場所に立てると同時に、舐めていた個所に歯を立てる。
もう片方の手はするりと下着の中に滑り込み、容赦なくの中心を引っ掻いた。

「痛っ・・たぁ・・!」
「ここ?」
「そ、そこも、です・・」
「そこ、ってどこでぇ。わかんねェよ」

喉をのけぞらせながら震える声を出せば、露わになった喉に総悟が噛みついた。ひく、と、体中が飛び跳ねる。
く、喰われる・・・・。蛇に睨まれた蛙、まな板の上の鯛。捕食者に喉元を噛みつかれた被食者に、抵抗するすべなどない。

こわい・・!
ぎゅうと目をつむれば、溜まっていた涙がぽたぽたと零れ落ちた。ふと、撫でまわしていた手が退けられ、の頬を覆う。
舌先で涙を救いあげられ眼を開けば、優しそうな表情に凶悪な瞳をした少年が、犬歯をのぞかせながら見降ろしていた。
そこではぎょっ、と気づく。自分の頬にあてがわれた総悟の手が、汗や涙ではない粘土の強い液体で濡れていることに。
あ、わかりやしたァ?これ以上ないくらい幸せそうな顔をして、心の読めない少年は怖ろしく残酷な声を出す。
ぬるりと粘る指先で、頬をなぞられた。

「アンタのココ、すっげえ濡れてんだぜ?」
「・・・ち、ちが・・」
「耳ん中舐められて乳首引っかかれただけで、アンタん中ぐちゃぐちゃの凄え事になってんでさァ」
「違う!違う!」
「違わねえよ。まぁったく、アンタがそんな淫乱なお方だたァ思ってませんでしたよ」
「や、め・・」

片手でがっちりとの頭を押さえつけ、耳元で「サイテーな女だなお前」と囁く。
もう片方の腕を再びしとどに濡れたそこに持っていき、周りをぐるりとなぞれば、びくんと娘の体が波打った。

「やあん!」
「ほォれ、どこが違うんでぇ。ナニ、今の声?」
「違、や、あっ」
「甲高ぇ耳障りな声出しちまってよう・・・全然説得力がねェんですが?」
「やめ、かき回さ、んぅっ、やぁっ」
「あーこりゃ二本とか全然余裕だわァ。信じらんね。見損なったわ、姉さん」

「姉さん」耳元でささやかれた言葉に、ぎゅうう、との中が狭くなる。
新しい玩具を与えられた子供のように、総悟の目が輝いた。無邪気に、真っ黒に。歯をむき出して笑う。

「オイオイ、勘弁してくだせぇ。アンタ今「姉さん」って言葉で欲情してんの?弟に犯されて興奮するたァ、淫乱どころじゃねェ、ただの変態でさぁ、「姉さん」」
「ち、がぁっ・・ひぁあっ・・!」
「俺の大好きな姉さんがこんなけがれた女だたァ・・・幻滅しかしねェよ」

いやいや、とは首を振る。止めて、そんなこと言わないで。だって好きでこんなことになっているわけじゃない。訳が分からない。
今まで気づかなかっただけで、総悟が言うように実はは相当にふしだらな女だったのだろうか。
ぐい、と髪を掴まれ前を向かされる。下ではいつの間に下着を脱がされたのやら、熱くほてった総悟のものが入口にあてがわれていた。
「ホレ、淫乱らしくおねだりしてみなせェ。ご主人様の塊ねじ込んでくださいってなァ」
冗談じゃない、と思いつつも、ひくひくと痙攣する体は言うことを聞かない。同じく甘い快感に犯された脳もである。

しばらく悩んだ末、は快楽に逆らえずについに・・・・・いでっ!


ん?・・・・「いでっ」?




「オイィィィィィ!!!起きろ!起きろ!!」
「ってぇぇぇ・・・・・!何すんですか土方さん」
「てめぇが何やってんだァァァァァアアア!!!」
「うーん・・・うーん・・・・はっ・・」

ぐあんぐあんと体をゆすられて、の意識は現実の空間へと引き戻された。
カァカァとカラスが鳴いている。ちらりと見えた外の光は夕焼け。
は全身びっしり冷や汗をかいて、土方に抱きかかえられていた。

「いや・・姉さんが気持ちよさそうに惰眠をむさぼってたんで、いい夢見れるようにと」
「どこの世界に「いい夢見れるように」寝てるやつの枕もとで官能小説音読する輩がいるんだァァァァ!!!」

しかも!お前さり気に登場人物の名前とか語尾とか変更させてただろ!!
官能小説の登場人物を実在する人物に置き換えて音読しているところを発見される、なんて、普通に考えてそれだけで恥ずかしすぎる状況にもかかわらず、特段気にしたそぶりも見せずに、総悟はいつも通りのやる気のないポーカーフェイスでうっとおしそうに土方を見やった。

げんなりとその様子を見ていると、ちらりとこちらを向いた総悟と目が合う。
うっ・・・。
思い起こされるのは先ほどまで見ていた寝ざめの悪過ぎる悪夢。なんつう悪戯をしかけて来るのかこのガキは。
青くなって赤くなって総悟を睨みつけてやると、にやっと歯を見せて笑う。悪い顔。

「へぇ・・・どうやら、いい夢見れたよーで」
「なっ・・・・!!!」

おっ・・・沖田アアアアアアてめえこのやろおおおーーー!!!


そんな住み込み雑用の声が、むなしく響いたとある日の夕暮。








うわあーやっちまった。やっちまったよう。黒歴史第2段。エロいのって難しい。ていうか、無理。
屯所の猫隔離話は多確率で夢落ちになります。

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