「お帰りなさーい!・・って沖田さん?!大丈夫ですか?」
「う・・せ・・触んなバカ・・!」
ぜいぜいと荒い息、真っ赤になって潤んだ瞳。冷や汗をだらだら流して、足取り重く通り過ぎられて、は困惑した。
追いかけようとするその肩を後ろから伸びてきた腕によって掴まれる。
「放っておいてやれ」土方はそう言ったが、普通の様子ではなかった。心配だ。
彼女の視線の先でふらふらしながら進んでいく総悟はクソッ!なんて吐き捨てて壁を殴りつけた。
頭ががんがんする。息が苦しい。体中がだるい。
なのにアレだけは完全にアレで。
きもちわるいきもちわるいきもちわるい。
頭の中が完全にあんなことやそんなことやどんなことだ。
うがああああああああ。
誰かぁ・・・助けてぇ・・・
**沖田総悟の受難**
「おい、大丈夫か」
「・・・ぜんっぜん・・治まりません・・・つか出てけ・・」
総悟の部屋。
頭から布団を被った総悟に向かって土方がため息を吐く。
天人製のものとはまた厄介なものを飲まされたものだ。
「あぁぁ・・そのうちひくとは分かっていても・・・・マジで自分が嫌いになりそうでさァ・・・」
「情けねェ事言うな」
「ドSはガラスのハートなんでさぁ・・・」
そう、本日の討入で総悟が飲まされてしまったのは天人製の催淫剤。
その威力は絶大で、実際総悟は途中から使い物にならなかった。
動機、息切れ、体中が火照って仕方がない。そしてもう全身全ての血が疼く。うずうずうず。
やりたいやりたいやりたい。
「・・・総悟、念のために釘を刺しとくが・・」
「姉さん襲うなってか?・・アホか・・んなことするわけねぇでしょうが・・」
「・・そうか」
「・・・そろそろ本気で出てってくだせェ・・今の俺ならアンタでも襲いかねませんぜ」
「怖ろしいこと言うなよ・・・」
そう言って土方は大きく息を吐いて部屋を後にする。
その気配が完全に消えたことを確認すると、総悟はぶはぁ、と息を付いて、顔だけ布団から出した。
「そう言うことなんで、そんなところにいると危ねぇですよぅ、姉さん・・」
ぴくり、と障子の向こうで人の動く気配。盗み聞きとは頂けない。
そーっと障子があいてひょっこりとが顔をのぞかせる。その顔は心配そのもので、瞳は泣きはらした後のように真っ赤になっていた。
「・・・なんで泣いてんの・・」
「だって、そんな苦しそうで・・死んじゃうかと、思った・・」
「残念俺ァそんな簡単に死なねぇよ・・・う・・あぁ・・気持ち悪い・・」
「大丈夫ですか」
「いやストップ。入ってくんな。マジでやば・・・いぃ・・・!」
布団の中でうつぶせになって縮こまる。
いかん、駄目だ。の声を聞いているだけであられもない妄想が止まらねえ。そんなに女に飢えているつもりはなかったのだが。
というかやばい、マジで耐えられない。
「絶対に・・・入ってくんなよ・・・」
「あの・・私に出来ることなら何でも言ってください・・」
「ヤらせてください」
「・・・・・・・」
「・・・冗談に決まってるだろィ・・うー・・」
は大事な、大切な自分の玩具だ。こんな何しでかすか分からない状態で抱いてみろ。きっと壊してしまう、心も、体も。
それでも、一人が好きでも一人が苦手な自分は部屋の前からいなくなれとも言えない。
薬のせいか体だけじゃなく精神も心細い。一肌恋しい。
「はァ・・・ねぇ・・さぁん・・」
本当に自分はずるいと思う。こんな声で、こんな甘えきった声で頼んで、が断れないのを知っている癖に。
僅かに開かれた隙間からぽいぽいと投げて寄越されたものに、は目を丸くした。
アイマスクと、イヤホンジャック?
「・・それで目と耳ふさいでくだせェ。外したらマジで犯す」
「えと・・・何をするんですか?」
肉体奉仕も最悪覚悟していたのだが、総悟はかたくなに部屋に入って来ることを拒んだ。
その声は今にも倒れるんじゃないかと思うくらいに弱弱しく、ぜいぜいと呼吸も荒い。苦しそう。
頭撫でましょうか、と言えども、いらない、と帰って来た。
その代りに、障子の隙間から差し出された手。「これ、握っててくだせぇ」
障子を挟んで背中合わせ、もたれかかるように腰かける状態だ。
指示通りアイマスクを付けていると後ろから声がかかる。いいか、一回しか言わないからよく聞きなせェ。
「アンタは目ェつむって音楽聴きながら、ずーっと俺の名前呼んでりゃいいわかったか」
「・・・はい」
「ん・・これ、MP3プレイヤー・・・半分くらい落語だけど・・」
渡された刀(いいのか・・?)の鍔にあるボタンを押して音楽を再生する。
よく分からないがこれで少しでも楽になるなら・・と、は口を開いた。
「沖田さん・・・」
が総悟の名前を呼び始めた。
障子の内側で総悟が何やってるのか、何のために総悟の名前なんて呼ばせているのか、が理解しているのかは分からない。
ただ、の手に触れている左手は熱く火照った体を覚ますかのようにひんやりしていて気持ちよかった。
「沖田さん・・」
ごくり、喉を鳴らして、心の中で盛大に土下座をしつつ、総悟はごそごそと着物の帯をほどいてその先に触れた。
取り出した己のものをゆっくりとしごく。
「ん、ふっ・・・」
「沖田さん・・」
「ね・・さん・・」
「沖田さーん・・」
「は・・ぁぁ・・ぃっ・・」
耳は塞いであると言っても、声が漏れないように細心の注意を払う。そこは意地だ。
声だけで、片手分の手のぬくもりだけで抜けるなんて本当に変態。でも今日はそれも全部薬のせいにしてしまえばいい。
「んくっ・・・・!」
ぽたぽたと口から垂らした唾液を掬いとって手のひらに溜める。
それで自身を撫でればぐち・・と嫌らしい粘膜音が響いた。に聞こえちゃいないだろうな。
はぁっはぁっ、と荒い呼吸。手のひらの中が体積を増すにつれてこれ以上上がらないと思っていた体温が上昇する。
罪悪感もあるがそれを上回る快感。手が震える。
するり、と重ねていた手が動いて総悟の手の甲を撫でた。
イヤまァ確かに音楽聞きながら名前呼び続けるだけじゃ手持無沙汰にもなるわな。
自身を抜く手は緩めずにのその手を追う。
追いすがって指先に触れると、の手はなめらかに指をからめてきた。つい、と手の腹を撫でられる。
ぞくっとした。
「はぁっ、はぁっ、・・ん・・っぁ・・」
「沖田さん」
「ぅ・・ねぇさん・・・」
ぐちゅぐちゅと手の中が卑猥な水音を立てる。時折左手から伝わって来るの指先の動き一つ一つに反応してしまう。
先の部分をぐるりと撫でまわす。びくんと体中が飛び跳ねて、総悟は喉をのけぞらせて天井を見た。
ゆっくりと瞼を閉じる。最終まで、もう遠くない。
「そう・・くん・・?」
「んぁっ・・?!」
不意打ち。
確かに総悟は自分を呼べとは言ったけれども。
・・・・この状態で「そーくん」は、ずるい。
「うっ・・はぁっ・・!ね・・さ・・」
「そーくんそーくん」
思わずぎゅうぅっと握った総悟の左手から何を感じ取ったのやら、は呼び名「そーくん」に変更を決めた。
ずちゅっ、ずちゅっ、手の動きが速くなる。声が、漏れる。息が、押し殺せない。
音量を・・・もっと押さえなくては。
チカチカと目の前で光が点滅し始める。もう・・・、
「は、あぁ・・んっ・・ね・・さんっ、姉さんっ」
「そーくん・・」
「だ・・す、き・・で、さ・・!」
「・・・私も大好きですよ、沖田さん」
「へ?!ぁっ・・んんっ・・く・・・・!!」
頭のすぐ後ろでそんなセリフを聞きながら、自分の手のひらの中に総悟は果てた。
片手で後始末をしていると、障子の向こうから声がかかる。
「もうイヤホンとっていいですか」
「どうぞ・・」
「目隠しは」
「まだ」
「本当に大丈夫ですか?手、凄い汗ですけど」
「・・へーき・・」
ぽい、と投げたティッシュのボールをゴミ箱に入れて、総悟はぐたぁ・・と力を抜いた。
体はまだ火照ってはいるけれど・・・だいぶ楽になった・・かな・・?
障子の隙間からのもう一本の腕が入ってきて、手探りで総悟の頭を探り当てる。
くしゃくしゃと撫でて来る感覚に、総悟は息を吐いた。全くこの姉さんは・・・・。
いつから音楽を聞いてなかったのかは、怖ろしくて聞けない。
はい、お疲れ様でした。黒歴史第3弾。
こんなもの貰ってもらわなくて結構です(吐血)
どうしても総悟が情けなくなっちまう。土方さんにちゅーだけでヘタレとか言ってたのはどこの誰だ。