その場はいたって静かだった。
ひとつの部屋の中3人もの人物がいるのにもかかわらず、会話など一切ない。にもかかわらず。
その3人のうちの一人・・・・・沖田総悟の脳内は、自分の中で起こる水音に支配されっぱなしだった。
「・・・・んはっ・・・・は・・ふ・・・!」
「30点。がむしゃらに舌使えばいいってもんじゃないのよ。それよりも、コッチ」
普段の沖田総悟の様子を知っている者からしたら、まずもって今の彼の余裕のなさに驚くだろう。
酸欠で頬を赤くし、苦しそうに眉を顰めながら肩で息をするその額には大粒の汗がいくつも浮かんでいる。
そんな総悟の前におしとやかに腰かけた女は、さらりとこぼれた黒髪を指先で耳にかけながら、反対の指で総悟の唇をなぞった。
ぐり・・・と押し入るように歯をこじ開けて親指が侵入してきて、人差し指と一緒に柔らかく唇をつままれる。
「キスで大事なのは、舌の動きよりも唇の動き。あとは、角度」
「む・・・・むり、だろ・・・ソレ・・・」
「無理じゃない。やるんです」
「そ・・じゃなく、て・・・・・・物理的に無理だろーがコノヤロォォ・・!」
疲弊しきった体で渾身のツッコミを浴びせれども、目の前の女もその後ろに退屈そうに腰を下ろしている自分の上司たる男も特に関心もないようにどこ吹く風状態。
畜生この血も涙もない鬼どもめが!
総悟の体は現在、お縄についた犯人よろしくな感じで、ロープでぐるぐるに縛り上げられていた。
本日、会わないようにしていたにもかかわらず廊下でばったり土方に出会ってしまった総悟はすぐさま回れ右で駆け出した。
理由は聞くまでもない。このふざけた淫想を俺が打ち砕く!ためである。
要約すればセックスの講習が嫌だったからである。より簡潔に言えばこの女が嫌だからである。付け加えて言えば土方は死ねばいいと思う。
すると土方はどこからか取り出したロープで頭上にわっかを作り、ぐるぐると振り回した挙句総悟に投げつけ捕縛したと。保安官もびっくりなテクニックである。
両手首を背中に回して固定し、その上からロープでぐるぐる巻き。そんな状態で連れてこられたこの部屋・・・・・ほとんど人の出入りしないような離れの一室・・・・にて、本日も地獄の教習・・という名の拷問が始まったのであった。
「聞いてますか?」
「ん!ぅむ・・・!」
いつの間にか距離を詰めていたはそのまま許可もなく総悟の唇を自分の唇で覆う。
首も傾けて、文字通り「ふさぐ」ようにして唇を合わせた彼女のあらわになった顎から喉にかけてのラインに、しなやかな黒髪がひとたばパサリと音を立ててこぼれた。
はむ、と唇全体でほぐすように吸い上げられて、総悟は眉を顰めながら切なそうな息を吐き出す。
「わかりましたか」
「ふ、はっ・・・!こ、の縄・・・外せや痴女が・・!」
「先生と呼びなさい。人にものを頼む態度を分かっていませんね」
「この縄外して下せえ」
「この講習は性的拷問の耐性レッスンですよ。拷問を受ける立場で手足が自由とは限りません。だから、駄目です」
「んじゃ何で言わせた今の?!」
「と言っても、キスばっかりじゃ流石に飽きますね。私が」
リアクション0で返した女の手が伸びてきて総悟の縄にかかる。
外側のぐるぐる巻きのロープだけ解いたは、覗き込むように上から総悟を見下ろして、ふわりと凶悪に目を細めた。
最近やっと舌を使うことにも(ほんの少しだけ)慣れてきたようだし、
「次のレッスンに進みましょうか」
「・・・は・・?」
「次のレッスンは“ペッティング”です」
和名で言えば愛撫ですね。名前の通り愛をこめて撫でる行為です。
愛どころか興味すらないような無表情でまじめに解説する女に総悟はため息をつく。
「俺ァ他人にベタベタからだ触られんなぁキライなんですが」
「知りません」
「・・・・・・・」
あれだ。男が女の乳をもんだりあそこを慣らしたりの、“前戯”というやつだろう。それなら尚更。
ぎし、と体を捻って、背中から固く結ばれた手首をちらりと見せる。「これ外せ」
するとはあきれ果てたような目で見下しながらはァ、と吐き捨てた。「はァ?」
「何度言われればわかるんですか。これは拷問耐性だっつってんでしょ。一方的に嬲られるのはあなたです」
「・・・あんた本当俺をイラッとさせる天才かィ」
「褒めてくださらなくて結構ですよ」
「耳腐ってんな」
何も言わずに回された手が総悟の帯をするりとほどいて、着ていた浴衣が左右に開く。
女でもあるまいにこんなことでいちいち慌てふためきはしない。S字柄の下着だってちゃんと身に着けているし。それも脱がされると思うと・・・なんかすごく嫌だけれども。
愛撫というからには、これからこの女が総悟のそれをしごいてくれるのだろう。パイズリでもしてくれるのだろーか。
そのまま抜いてくれりゃ楽でいいや・・などと考えていた総悟はの次の行動に、吸いかけていた息が逆流した。
「え、な、何・・・・イひっ?!」
「・・・・・」
「・・ってぇな!!何す・・・ひあ!」
体を寄せ、はだけた着物の上からきつく総悟を抱きしめたは、片腕でするりと胸を撫で上げると胸の突起にガリ、と爪を立てた。
痛みに驚く間もなく、喉元に這った唇に強く吸い付かれる。
さわさわと耳の付け根を撫でられくすぐったくて目を閉じれば、反対の耳に熱い吐息がかかった。
耳の輪郭をなぞるように舌が滑り、ちゅ、と小さな音を立てて耳たぶに吸い付かれる。
そのままゆっくりゆっくりと耳の中に熱い舌が侵入してきて、鼓膜のすぐそばでこすれる水音にぞくぞくと背中を得体のしれない何かが駆け上がるのを感じた。
飼っている猫でも撫でるかのような柔らかい手つきで髪を撫でられる。たっぷり潤った舌で耳内を味わいながら、の空いた手が総悟の脇腹を撫でた。
体中を撫でるの掌から逃れようと、ぞわぞわとざわめく体をよじらせて総悟が呻く。
「や、め・・・・!どこ触ってんでィ俺は、男だぞ・・」
耳から喉にかけて舌を這わせながら、の片手が総悟の乳首を弄る。中指の腹で転がして、人差し指との間ではさみ、軽く引っ張られる。
気持ち悪いようなくすぐたいような感覚に体を捻れども、両手を後ろ手に固定されているうえにしっかりと体を寄せられているため、うまく身動きができない。
ずくずくと下半身に少しずつ熱が集まっていくのを自覚して、総悟は歯をかみしめながらぎゅぅと目を瞑る。
総悟の胸まで下りてきていた熱い舌が、突起を包んでかぷ、と甘噛みした。
「ひ、ぁあっ」
情けない裏返った声が部屋に大きく響き、青くなった総悟がハッと目を開けば、視線の先にいた土方と目があった。すぐにそらされる。何も見てませんよ、という顔で。
・・・・・見られた!つか、聞かれた。なんだ今の声!
嘘だと言ってほしい。乳弄られて鳴くとかどう考えても女だ。男はそんなところ感じるはずないし、噛まれた刺激であんな声、出すなんて。
混乱する頭で体をこわばらせる総悟の胸を、わずかにざらざらした女の舌がぬるぬるとなぞる。
固くすぼめた舌先で突起をつぶされて、今度こそ総悟は声を出した。びりびりと弱い電流が体中を走る。
「んあ!ヒっ・・・」
「どうしました?キモチイイの?」
「ちが、ちがう」
「そうですか」
「じゃぁこのまま良くなるまで続けます」
ちょっとまてぇぇぇぇっっ。
しれっとそう言って、は再び総悟の胸に噛みついた。
先ほどよりもずっと軽く甘く噛まれたのにさっきよりも体がじぃんと痺れて、総悟は必死に声を押し殺した。
音を立ててなんどもなんども舌でなぶられた後にふーっと息をかけられる。
全身をこわばらせて刺激に耐えていると、唐突に唇を生温かく湿ったものでなぞられた。
びくりとして目を開けば目の前にの顔。
「息止めない。酸欠になるわよ」
「んんぅ・・・・は、ふっ・・」
そのまま唇を重ねられる。キスのレッスンの時にたんまりしこまれたせいで、の舌が唇の間に差し込まれれば抵抗なく勝手に口が開く。
復習だとでも言わんばかりに舌をからめてくるに、総悟も何とか応えようと舌を這わせた。
キスの途中に胸の突起を引っ掻かれてびくりと体が跳ねる。一気に呼吸を飲み込んだせいで自分の声じゃないような音が総悟の口から漏れた。
「胸で感じるなんて女みたいね」
「・・・ぅ・・・・!」
「先っちょつねられてキモチイイのね?こうするたびにホラ、びくびく震えて」
「んくっ!・・・や、やめろィ・・・」
「やめろって言われてやめてくれるようなぬるい拷問想定してません」
「・・・まぁ、胸で感じる男の人は多いので、そこは気にすることありませんけどね」
それ先に言えよ!!
「もしかして自分はイレギュラーなのかと思ってぞくぞくしてました?」
「そんな理由でぞくぞくはしねぇよ!」
「土方さんとか、コレ、結構好きよ」
「・・・・まじでか・・」
「は?」
突然話題に出された土方は間抜けな声を上げた。
ちらりとこちらを見たは楽しそうに目を細めている。あのアマなんつーでたらめを。
「後で見せてあげようか。可愛いわよ」
「ぜ、是非よろしくお願いしまさ、せんせ・・・・んっ」
「よろしい」
「よろしくねえっ!」
本人そっちのけで交わされる口約束に呆れながらも渾身のツッコミが土方から飛び出した。
「・・どーし、やしたか。乳首で感じる、土方さん」
「それはテメーだ阿呆」
どすん、との後ろに腰かけた土方はおもむろに女の帯に手をかけた。
総悟の横腹にキスを落としていたは一瞬驚いたように土方を見上げたが、すぐにふわりと表情を崩す。
「嘘は言ってないもの」
「大嘘だバカヤロー」
手荒く帯をほどくと抱きかかえるように土方の腕がの胸元に伸びてきて、合わせ目を掴んでグイ、と広げる。
突如目の前であらわになった白い肌に総悟は息をのむが、本人の女の方は余裕なものだ。
形の良いお椀型の胸の下に手を這わせ、持ち上げるように揉みあげる。
ごつごつと男らしい土方の指先がの両胸の突起をきゅっとつまんだ。
「総悟」
「へ」
「さんざん習っただろう、実践だやってみろ」
「イヤ土方さんだから、俺腕きかねぇから触ろうにも触れな・・」
「オメーはの何を見てたんだ何を。口があるだろうが、舌使え舌」
は何も言わず土方がするのに任せている。肩に歯を立てながら、土方は総悟に目線だけで笑った。
「ちなみにいいこと教えてやろうか総悟。コイツが弱ェのは耳だ」
「土方さん」
「嘘は言ってねーよバカヤロー」
後ろ手に縛られているのでぐらつくバランスを何とか整え、膝立ちになった総悟がもたれかかるようにの半身に体重をかける。土方と二人ではさんで押しつぶすような体制だ。
何とかの耳元までたどり着いた総悟は、耳に唇がつくかつかないかほどまで近づけて、そっと囁いた。
「・・・・耳、弱ぇの、あんた」
同時に土方にぎゅっと胸の突起をつねられたせいか、女の体がわずかにこわばる。
激しくやればいいというものではないというのは、“キス”のレッスンで身に染みて経験済みだ。
わざと焦らすように、そろそろとゆっくり舌をねじ込めば、はピクリと震えた。
鼻先をくすぐる彼女の髪からは石鹸のにおいと、石鹸のにおいじゃない甘い香りがした。
先ほど自分がされたことを思い出しながら、たっぷりと唾液で濡らした舌で耳内を探ってやる。
びくりと体が跳ねたので目を開けて隣をうかがえば、反対側の耳元で土方が何やらぽそぽそと女にささやいているようだった。
こちらに気づいた土方が悪役のような笑みを浮かべる。
「乳首固くしてやがるぜコイツ。舐めてみるか」
「ちょっと触ってやっただけで固くしやがって、エロい女」
「ちょっと触っただけで固くしてる貴方はどうなんですかねぇ?エロ方さん?」
「・・・・・オマエ本当・・・イヤ、いい・・」
土方が総悟にも見やすいようにの着物を引っ張り広げれば、肩からへその上までの肌があらわになる。
下ってきた総悟の舌が突起をかすめれば、はぁっという湿った息遣いが上から聞こえた。
手が使えない総悟が咥えやすいように、土方の手がふにょふにょ動きやすいの胸を固定する。
「じょうずですよ」と髪を撫でながら、もう片方の女の手が総悟の下腹に伸びた。
びくんと体を跳ねあがらせて、総悟は息を飲む。初めて、それも下着の上から軽く触れられただけなのに、痛いと思ってしまうほど総悟のものは熱く腫れ上がっていた。
薄い布越しについ、と撫でられて、無意識に腰が動く。口もふさがっているため鼻でしかできない呼吸が荒くなる。
ゆるゆると総悟のものに刺激を与えながらも女が無言なのがなんとなしに気になって胸に歯を立てながら見上げれば、首をひねって後ろの土方とキスをしているが目に入った。
その表情はいつも自分に向けるものよりも若干余裕がないように見え、うるんだ瞳と火照った頬が何とも艶めかしい。
「んひゅっ・・!」
・・・そんなことを考えながら見とれていると、きゅっと総悟自身を締め付けられる。
驚いて見れどもは顔を捻っていてこちらを見もしていない。
「他ごと考える暇があるならまじめに体動かしなさい」
土方に唇をふさがれているため言葉にこそせずともそう言われたのがはっきりわかって、総悟は顔をひきつらせた。
土方さん。
本当に何モンですかこの女。
どうして沖田さんがそんなに受なんですか。
BLというジャンルでは沖土を絶賛プッシュするねこともあろうものが。(聞いてない
>>next>>