日の暮れた真選組屯所。一日の業務も終わりを迎え、あー今日も疲れた風呂も入ったし早く寝たいなァ〜
なんて思っていた総悟を現実へと引き戻したのは、もうすでにおなじみとなりつつもある冷めた高い声だった。
「・・・・・あ、ようやく気が付いた。良かったですね、死んでなくて」
というか現実に引き戻されたのは文字通りだったようで、意識を飛ばしていた総悟は小さく呻りながらうっすらと瞼を持ち上げる。
見慣れぬ天井。屯所の離れにある窓もない密室の真ん中に、総悟は手足を投げ出して横たわっていた。
未だ上手く動かぬ指先に力を込めながら、おそらく今のところの視界の外にいるであろう人物に向かって苦々しく口を開く。
「ひ、・・・土方てめぇ・・・仮にも長い付き合いのあるユージンに向かって・・・・す、スタンガン、とか・・・」
「そんだけ実力買ってるってこった。先手でもとらねェとそろそろ捕まえられねェようなきがしたんでな」
風呂上り。あー今日もそろそろ来るかァどうやって逃げよう・・・などと考えている時に、すれ違いざま。
完全に気配消してた!なんか映画の中のプロのスパイ的な人みたいに、よそ見しながらさりげなく伸ばされた左手は相手の横腹を・・・・的な感じだった!
ビクッ、と一回跳ねた後そのまま意識を失いつつ土方の腕の中に抱きとめられる瞬間見えたヤツの顔は、完全に犯罪者の顔だった。
(計画通り・・・!的な・・)
「さて、では沖田さんの意識も戻られたことですし、今日のレッスンを始めましょうか」
「オイィィィマテ・・・!沖田さん意識は戻っても体に力戻ってない・・・・レッスンしようにも何もできない・・!」
「はい。それでは本日のレッスンですが」
「聞けよ・・ブス・・・!!」
「もう一発くらえば素直に講習を受ける心も戻ってきますかねぇ、土方さん」
怒りもしなければ笑いもせず、ただ淡々と言葉を発しながら土方に向かって片手を差し出すに、若干固い顔をしながらも土方がフルフルと頭を振る。
やめてあげて。風呂上りにあの電圧はちょっとやり過ぎた気もしないでもない。さすがに2発は勘弁してやって。
仕事上がりの部下を突如スタンガンで気絶させる鬼の副長よりも、さらにドエスがここに居るよ。もういっそ鬼畜だ。
「それではレッスンを始めましょう」
再び視界に入りこちらを見下ろしてくる黒髪の女は、それまでの下りがまったく存在しなかったていでもう一度言った。
渋い顔をした総悟に気が付いてが口を開く。
「どうしました。前回の後は大丈夫でしたか」
「・・大丈夫って、何の事ですかィ」
「無事に一人でぬけましたか」
「・・・・ウワァ・・恥も迷いもなくきっぱり言ったよこの女・・・」
まだたった数回しかレッスンを受けていない身ではあるものの、総悟の勘はうすうす感じつつあった。
この女・・・セックスの講習とか言いつつ、総悟をイかせる気がないのだ。
最初のキスのレッスンの時も。その次の愛撫の時も。
煽るだけ煽って、その状態のままぽい、と放り出す。
「お疲れ様でした。おやすみなさい」おやすみなさいじゃねェよこちとら息子がこんな状態でお休みできるほど男を忘れてはいない。
結果その後自分の部屋でこそこそと「後始末」をしなければならなくなるのだ。隊長の部屋の前、しかもあんなに夜も更けてから通りかかる隊士もいないだろうが。
気まずいものは気まずい。自然と肩身が狭くなる。本当に踏んだり蹴ったりである。
まあ、ヌかれるどころか直接触られたことすらないのだが。
「今回は、前回までの復習を含みつつ、沖田さんにはフェラチオを体験していただきます」
・・・・・。
いや、何か気の利いた悪言でも言おうと思ったが、こんなこといきなり言われて反応できるほど総悟は異常ではない。俺は普通だ。健全な青少年だ。
若干顔をひきつらせつつぽかんと口を開ける総悟に、ドエス女教師はずい、と距離を詰めた。
「・・ん!」
未だ完全に力の戻りきっていない体に馬乗りになって、開いた口に舌を差し入れてくる女に思わず総悟は目を瞑る。
抵抗しようにも、力の抜けた体と押し倒され逃げ場のない床ではどのみちまともな拒絶は出来ない。
『勝手に目、閉じるんじゃねェよ』
そんな暴言でも聞こえてきそうな手荒さで寝間着浴衣の上からピンポイントで突起を引っ掻かれ、総悟は体を凍らせた。
「どうかしましたか」
「・・は、ぁ、アンタって本当、ド淫乱・・・!」
「そうですね。それが仕事ですので」
「ん、・・ふっ・・ぅ」
「相変わらずキスが駄目。40点、赤点すれすれラインです」
「くっ・・!し、る、かぁっ・・ひ、あッ」
するり、降りてきた女の手が襟元を広げながら中に入ってくる。
完全に感覚の戻りきっていない肌の上をひんやりした細い指が這い、普段の生活で他人に触られないような場所ばかりを撫でまわして。
「・・・前回の、そんなに良かったんですか?」
「ヒ、・・・!」
「もう、こんなに硬くなって」
「・・・・・・っぅ!!」
ぐり、ぐり、ぐり、
固さを持ち始めたそこを指の腹でさする。爪の先ではじかれて、ねじるように強めの力でつままれる。
いつの間にか帯は申し訳程度にぶら下がっているのみとなり、降りてきたの舌がぺろりとへそを舐めた。
びくん!力が入らないはずなのに、腰が跳ねる。
また、着物の上から。
熱の集まったそこに、ふよふよと撫でるように刺激を送られる。
体の震えを何とか逃がそうと息を荒げる総悟に、腰の位置からの頭がニコリと笑いかけた。
「ホラ見て。ここだけ着物浮いてますよ?」
「・・ち・・」
「先っちょだけシミになってるの、見えますね」
「し、らね・・!」
「あら、見えませんか。じゃぁこの角度なら」
「見せんなっ・・!!」
「あーあ・・・早く直接触って欲しいですねえ?」
「はぁぅ・・っ」
布越しに、ざらりと温かいものがこすれる感触が伝わった。の舌だ。
浮きあがった着物のてっぺんを慣らすように、なじませるように円を掻きながら舐め、ぺったりと布の張り付いたそこにふー、と息をかける。
ひやりとしてまた跳ねた総悟を冷めた目で、しかし若干楽しそうに見やったは、ぐちぐちと片手でソコをなぶりながら総悟の顔の前へと移動した。
見下すように見下ろされて、感情のない冷たい声が総悟に刺さる。
「では、今から口淫をさせていただきますが」
「んっ、は、ぁ」
「一つ沖田さんには課題をこなして頂きます」
「な、に」
「『イかせて下さい、お願いします』」
「・・・?」
「そうおねだりすることができたら、イかせてあげます」
「はァ?!」
いつかはきそうな展開だと、予想できなかった訳じゃないワードが飛び出して、総悟は顔をしかめた。
「ああでも、コレは訓練なので、決して言ってはいけませんからね」
それは肝に銘じておいてくださいね。
そんな言葉を吐き出す目の前の整った顔に向かって、唾でも吐き掛けたい気分になる。
「せいぜい簡単には折れないでくださいよ」
「ご心配、なく・・・こっちだってンなこと言うの御免でィ・・!」
「まあ。それはよかったです。じゃぁ、ちゃんということ聞けたらご褒美あげますね」
「!!舐めやがって・・クソビッチが・・・!」
触れるか触れないかまで近づいたの顔が、一瞬だけ凶悪に微笑む。
人を完全に舐め腐った顔。それでいて唇は怪しげに艶めいていて、今からそこが・・・・なんて思うと緊張しないこともなかったが。
肩で息をしながらも、ようやく少しだけ戻ってきた力を振り絞って何とか少しだけ半身を起こす。
自分の股の間にけもののように四つん這いになり、頭を下げようとしていた女の見上げる視線と目があって、
・・・・・これはこれで、ぞくぞくする。
どっかのエロ本で見た。女の髪をわしづかみながら、汚いソコを無理やり奉仕させる。
突き詰めればそれは奴隷に靴を舐めさせることと意味は似ている。口での奉仕は男の征服欲を満たすのだ。
そんなことを想いながら、総悟はごくりとつばを飲み込み、自分の股に顔を埋める女を見下ろした。
こちらの思っていることなどお見通しなのかそうでないのか、見つめ返してくる女の瞳は酷く挑発的に感じる。
ちろり、赤い舌をのぞかせながら開かれた女の口からぽたぽたと唾液があふれ、総悟のものにかかった。
そっと、触れるだけのように添えられた指先にぞくりとする。はじめて、はじめて。
ちゅ、と、まずは触れるだけのキス。
顔を傾けてゆっくりと側面を舐められて、総悟の体は一気に熱を増した。
「は・・・っ、はぁ・・」
「どうですか」
「んっ・・・いい、眺めでさァ・・」
「そう。キモチイイ?」
「ん、んっ・・」
否定する理由も特に見つからなかったので素直に首を振れば、は楽しそうに目を細めた。
「正直な子は、好きよ」
「ふ、ひあぁ」
「可愛い声出して」
「だま、れ・・んっ」
丁寧にゆっくり、隅々まで舌が這った。
緩みきったところでときどき急に歯を立てられて、反応したくもないのに体は面白いほど正直に跳ねる。
口だけでなく指先も忘れず動かされた。カリの部分をつぅ、と撫でられたり、優しく後ろの袋を持ち上げて、ねじって、転がして。
じわりじわりじれったく与えられる、決定的に欠ける断続的な愛撫に、総悟は顔をしかめた。
刺激自体はそんなに強烈なものではない。先ほどまでと違って声だって我慢できる、のに。
体がどんどん熱くなっていく。呼吸が苦しい。
「・・・ふっ・・・は・・」
「すっごい先走」
「ふざけんな、てめーの涎、だ、・・ぁっ!」
「こんなに糸、引いてる」
ぴと。
てっぺんの真ん中、ちょうどくぼんでいるあたりをつん、と突つかれて、体だけでなくそれ全体もひくりと動く。
はやく、咥えろよ・・・!
フェラってそういうもんじゃねェの?
わざと避けられている、一番触れてほしいところ。そんなこと言う気はさらさらないが、先端からは「早く」と、「早くぅ!」と。
粘度の高い液体があふれて伝っていくのを、総悟だって感じている。
小さく舌打ちを打てば、笑われた。
ぐち、くちゅ、
それまでランダムだった手による愛撫が少しずつリズムを帯びてくる。
恥ずかしくてたまらなかった事を、目の前の相手は容赦なく指摘してきた。
「私の動きに合わせて、腰、動いてる」
「んん・・・っ、は、・・はっ・・」
「そろそろイきたい?」
「ふ・・・べ、つに・・・」
「先っちょ舐めてほしいでしょう」
「・・・馬鹿じゃねェの・・」
・・・・・!
捕食者に喉元でも食いつかれたかのような気分だった。
ぬるりとした温かいものが総悟を包んで、二種類の粘液が混ざりあう音と、かぷりと食いついた歯がわずかに当たって。
ぶるぶると総悟は体を震わせた。
一人でするより、ずっといい。きもちいい。
「あ、あぁ、あ、っ、」
『おねだりできたらイかせてあげる』
一瞬先ほどの言葉が浮かんだが、総悟はおねだりを言わなければいいだけの約束の筈だ。
いく。
ぎゅうと瞑った眼は、次の瞬間大きく見開かれた。
「んあっ・・?!は、あん、ぁ・・・!」
「どうしましたか」
「ヒ・・あ、な、んで」
「誰もイっていいなんて言ってません」
きゅっと指先できつく握られた根元。直前まで上り詰めんとしていた欲が激しく逆流する感覚にめまいがする。
イったのに、何も吐き出せてない。
まだ固くそり立ったままひくひくと痙攣するそれの先をかぷ、と甘噛みされ、総悟は悲鳴を上げた。
「うあん!」
「いきたかったら、おねだりなさいな」
「や、あ、あっ、ひあ!やめ、放っ!」
根元をきつく抑えたまま、もう片方の手のひらで緩急をつけて竿をしごく。
卑猥な水音を立てながら吸い付かれて、再び高みに追いやられた総悟が喉をのけぞらせながらびくびくと震えた。
またもや逆流した欲の端っこが、たらりと先端からあふれる。
「うくっ・・・ひぁ、ま、また・・!も・・!」
「もうイきたい?そういうときは何て言えばいいか、教えてあげたでしょう?」
「誰が・・!言うか・・・ああ!」
「気持ちはこもってなくていいんですよ?言葉にするだけ。簡単でしょう?」
「んんっ!」
「ホラ・・・・・」
「ひぃっ!」
もはや体全体を痙攣させながら、体中に汗の粒を浮かべて総悟は息を荒げた。
何度果てない絶頂に突きあげられたのか。だらしなく開いた口からはだらしなく喘ぐ声しか聞こえない。
その口を覆われ中を吸われて、ぎゅっと目を瞑る。瞑ったまぶたの裏は真っ白だった。
「いい子ね」
「ふ、ぇぁ・・・」
「いい子」
「ん、ふ・・・」
「イきたくない?」
の唇が離れる。
とろりと口の端をとろけさせて、真っ赤な顔で苦しそうに呻く総悟を、その手が優しく撫でる。
「ん、ん、」
「イきたい?」
「ぅ・・ん、」
「そうね、苦しいよね、もうイきたいよね?」
「ん、ん・・い、きた、ぁ・・はぁ・・」
「イかせてあげる。ほら・・・言えるでしょ・・?」
ちゅぅ、と目元を吸われた。髪をさらりと撫でられる。
かすむ瞳に映ったのは、それはそれは優しく微笑んでいた。
「ぅ・・・お、れは・・」
「は・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「もう終わりましたか沖田さん」
「・・・・・・・・・・」
「終わりましたか。じゃぁそっち向きますね。気分はどうですか」
「・・・・・・・最悪だァ・・」
「そうですか。それはよかったですね」
「・・・マジでアンタ死んでほしい・・」
箱ティッシュの中身を全部使う勢いでむしり取り巨大なボールを作りながら、総悟は生まれたままの姿で後ろを振り返った。
視線の先でこちらを眺める女は帯紐ひとつ乱れていない。その奥によく知る上司の顔もちらりと見えたが、
見なかったことにした。
いなかったことにする。
大きく息を吐き出す。
重々しいそれは吐き出しても体はちっとも軽くならない。
背中を丸めて不機嫌そうに項垂れる総悟の背中にが声をかけれども、総悟はかたくなに視線を外した。
最悪。
最悪だ。
結局総悟は最後まで『おねだり』のフレーズを言わなかった。
普段の自分だったら、「面倒くさいから」という理由でとっくに折れていたかもしれない。
総悟がに言われた『おねだり』を言わなかったのは、
別に意地だとか、屈するのが嫌だったとか、「ゴホウビ」が欲しかったとか、そういうのではなかった。
・・・何があろうとそれだけは言ってはいけない。
何となく、本当になんとなく、そんな気がして。
その結果が散々もてあそばれた揚句に今回も例にもれなく「ポイ」だ。
ティッシュと一緒にポイだ。
まさかひじ・・・・の前でオナる日がこようとは。
なんかもう死んでもいい。
「沖田さん」
「・・話しかけねェでもらえますかアンタら二人とも死ねばいい」
「沖田さん」
「・・・何でィ・・」
「100点満点です」
「・・・は?・・え、ちょ、」
背中からぎゅうと抱きしめられて振り返れば、穏やかにこちらを見つめる、
笑顔。
「良く最後まで我慢しましたね。すばらしいです」
「・・・・・」
「拷問で相手が言わせようとする言葉が、『これ』とは限りませんからね」
なでなでと頭を撫でられて、総悟は自分が無意識に思った「それだけは言ってはいけない」の理由が分かったような気がした。
『イかせてくださいお願いします』
が
『近藤勲を殺せ』
になる場合だって、十二分にあリ得るのだ。
「本当、見直しました、沖田さん」
「そいつぁどーも」
「・・まぁ、いろいろと失ったものも多いと思いますが。わたしや土方さんに自慰を、」
「やっぱり死ねばいいと思う、つーか今殺させてくれねーかな300円やるから」
笑顔を一瞬で引っ込めてさらりといつも通りの毒舌を吐く女に、驚きを通り越してもはや怒りしかわかない。
そんな(怒りで)震える総悟を見ながら、は無表情をほんの少しだけ緩めて総悟に手を伸ばした。
最後にもう一回、さらりと髪を撫でて、一瞬だけくすりと笑う。
「ごほうびも奮発しなきゃいけませんね」
「・・・へぇ。一体何をくれるんで」
一瞬反応が遅れたのは、一瞬だけ見えたその笑顔がまったくもって見慣れないものだったからに他ならない。
しかし。
「何でもひとつ私に命令できる権利、というのはどうでしょう」
無表情で淡々と答えたに、流石の総悟も耳を疑った。
「・・・・・なんでも?」
「私にできることなら、なんでも」
「・・・・・へぇぇ・・後悔しねーでくだせぇよ」
「中出しでもイマラチオでも、はたまた沖田さんの趣味で縛るなり炙るなり好きにお使いください」
「・・・なんか直接ズバズバ言われると萎えるんですが・・・」
「今日の沖田さんと同じ事、土方さんに対してやれ。とかでも構いませんよ?私は」
「・・・!ほほォ・・・それはいい案じゃねーですか先生。考えときまさァ」
「ハアァ?!」
抗議の声を無視してどす黒い笑みを浮かべる総悟とに、土方はげんなりと肩を落とした。
なんか早くもぐだぐだになってきた気もしないでもない
(もっとまえからかもしれないけど)
>>next>>