ー一緒に酢昆布食べるアル!」
「うん」
ちゃん、神楽ちゃん、苺ババロア作って来たんだけど、食べる?」
「「食べる!」」
、銀さんと一緒に苺チョコ食おうぜ!」
「はァ?何言ってるアル。たかが20円のチョコよりババロアに決まって・・「食べるーー!!!」

新八に貰ったスプーンはそのまま、は一瞬で銀時の前まで移動し、きらきらと銀時を見上げていた。
それを複雑な表情で見つめる神楽と新八。

「うーん。銀さんの苺チョコにはなかなか勝てませんね」
「私は新八のババロアの方がいいネ。おっきいから」
「味関係ねーのかよ」







=猫はコタツで丸くなる=








「はっはっはァ―!!どーだみたかお前ら!は銀さんが一番好きなんですうー!!」
「違うアル!!が好きなのは銀ちゃんじゃなくて苺チョコアル!!」
「みんなすきよ?しんぱちも」
「ありがとうちゃん」

神楽と銀時が火花を散らし、それを眺めながらが新八とババロアを食べていると、ガラガラと万事屋の玄関が開く音がした。

「ちぃーす旦那ァ。遊びにきやした」
「沖田君・・・君いい加減ここをさぼりスポットにすんのやめてくんない?」
「ちげーや。俺の猫に餌やりに来ただけでさぁ」
はテメェの猫じゃねェよ馬鹿ドSうぅぅ!!!ウチの猫ネ!!!」
ちゃんは猫じゃないよ神楽ちゃん・・・」

後ろに隠れたの頭を撫でながら新八がいうと、総悟と目が合った。

どけや眼鏡。邪魔なんだよ

なんか、そう聞こえた気がした。が、震えながらも新八はの前から動かなかった。
銀時がそれを見て「お前は男だ新八!」なんて言えば、総悟はちっと舌打ちをし、持っていた袋を軽く掲げた。


「ホレ餌の時間だ。アンタチョコ好きなんだろ。買って来てやったぜ」
「・・・・・」
「なんでぇ。いらねーのか」
「ぷっぷー!残念でした!は銀さんがあげたチョコしか食べないんですぅー!」
「・・・うっぜぇーこのテンパ」
「奇遇ネ。私も今そう思ったアル」

よっこいしょ、と銀時は腰を上げ、総悟が持っていた袋の中から一粒チョコを取り出し、を呼ぶ。
お前が持ってきたチョコはちゃーんと銀さんの手からに食わせてやんよ、なんていいながらフィルムをはがしに差し出すが、はそれを食べようとしなかった。

「あれ。食わねーの?」
「やだ。それ毒入ってる」
「はァ?!」

鈴の音が響くような声で放たれたその言葉に、万事屋の空気が固まった。
万事屋3人の視線が一斉に総悟に集まる。総悟は・・・目をぱちくりさせていた。
ま、まてまてまて。確かに俺に限ってないとも言い切れねェ話だが、それにしても失礼じゃないか?!
そして、実際そのチョコは買ったばかりで毒なんて入っていないのだ。


「何か入ってるの?」
「ただ餌付けしに来ただけでさぁ・・何も入ってねーよ・・」

あーあー残念。総悟も銀時みたいにが美味しそうにチョコをほおばる姿を間近で見たかったのに。
公園で犬に「いくよ?!いくよ?!そーれ、とってこーい!!」とフリスビーを投げて、見事にガン無視された時みたいな気分だ。
つまらないを通り越して悲しすぎる。

ちらりと横を見れば神楽が口に手を押さえてぷるぷるしていた。
いつもなら問答無用で飛びかかり殴り合いに発展させるのだが、総悟はそうしなかった。
毒が入っている、とはっきり言い切ったに引っかかりを感じたのだ。
そして理由として思い当たる点がなんとなくだけれど、ある。
引っかかりを感じたのは銀時も同じだったようで、眉間にしわを寄せての事を見ていた。
その顔を見てが何故かしょんぼりする。

「あの、ぎんちゃん・・おこってる?ごめんなさい・・」
「怒ってねーよ。・・・でもお前これ銀さん全部一人で食べちゃうからな。欲しいって言ってもやらねーからな!」
「・・旦那。アンタにやるくらいなら俺が自分で食いまさぁ」
「ええ!!差し入れじゃないの?!」

そうだ!これくれたらの散歩に一緒に連れてってやってもいーんだけどな!
そんなことを言う銀時に、総悟は呆れたように新八に尋ねた。

「そいつが餌に釣られやすいのってこれの影響じゃね?」
「・・・それと神楽ちゃんの影響も多大にあるかと」
「バカ言ってんじゃネーヨ新八!私は銀ちゃんみたいにあさましくないネ!」
「残念だなァアンタが一番可愛がってるって聞いて酢昆布も好物なんじゃねーかと思ったから中に」
「うおおおー!!ありがたく貰っておいてやるネ!!!」
「なんか・・僕恥ずかしいです」

ころりと態度を変える神楽の隣で、新八は眼鏡を押さえた。
銀時と神楽が袋の中身を撮り合っているのを見つめていたに近づいて、総悟は言った。


「なァ、俺のこと嫌いかぃ」
「きらい」
「俺の事呼んでみ。そうごって」
「ばかどえすっ」
「それで定着かぃ」

きらいでも、言葉を発している。一応側にいることを認められている。
まだ数回しか会ってないのに・・・沖田さん・・・恐ろしい人・・・!!
新八はそう思ったが、言葉にはしなかった。






歌舞伎町のとある公園で、は神楽や新八、定春と一緒にフリスビーで遊んでいた。

一回だけ総悟の足元にフリスビーが飛んできたので、とってこーい!!とに向かって投げたら、見事にガン無視された。・・・いやうすうす分かっていたけど。何だよ泣いてねぇやぃ。
公園のベンチに銀時と腰かけながら、総悟はちらりと横を見た。


「・・旦那ぁ・・」
「なあ、お前アイツどう思う?」
「・・どう思うってぇのはどういう意味でさぁ」
「でっけぇくまあるだろ?大概心開いてきんのに、夜眠れてねーんだよアイツ」

飯も他人から与えられるものには手をつけない。外では絶対に喋らない。そもそも最近まで外にも出たくないと言っていたのだ。そしてあの鈴の音の響くような声。
お前さんそのことで何か話があって来たんじゃねーの。そう言われて、総悟は「相変わらず読めねー男だ」と頭を掻いた。
もちろん餌付けも目的の一つだが、今日総悟が来たのは先日のの事で聞きたいことがあったからだ。

「アイツ、犬が苦手なんですかィ?」
「はァ?定春と遊んでんじゃねーか」
「それもそーだ。じゃぁ天人が苦手なのか」
「何の話?」

新情報に銀時が総悟をむけば、コツン、と頭に小さな衝撃と、ぱさりと銀時の腹の上にフリスビーが落ちる感覚。
それを拾おうと頭から飛び込んできたに銀時はうぶほぉ、と声をあげた。

そう、銀時がに対してひっかかっているものの一つ。この娘の運動神経は一般人から外れている。
超人と言うほどでもないが、この年頃の普通の女の子にしては一般的ではない。
物音にびっくりして逃げるときの足の速さには、銀時や神楽ですら追いつけないのだ。不意打ちとはいえ総悟も殴り飛ばすほどの瞬発力だ。

銀時は腹の上に乗っかっているの頭を撫でた。

「丁度いいや。今直接本人に聞いてみますかぃ?おいアンタ―――」

言い終わる前にの目がハッと開かれた・・・その瞬間、総悟の頭に物凄い衝撃が落ちた。


「仕事さぼんな、って何回いわれりゃ分かるんだお前はァ」
「ってーですぜ土方さん・・」
「お前も大変だねェ・・」
「今どっちに言ったんでぇ旦那」


総悟の後ろで鬼のような形相で立っている土方は、をみるとピクリと眉をあげた。

「そーでぇ。、こいつは「くそマヨラ―」でぇ。言ってみな」
「なに誤情報与えてんだテメェは」
「誤情報じゃねぇでさぁ。ほれ、言ってみな。言えよ。言えやァ」

眉を寄せてぶんぶんと首を振るに嬉しそうに突っかかる総悟。
それを銀時が呆れてみていると・・・急にがしり、と土方が総悟の肩を掴んだ。
総悟と銀時が「?」と思う間もなく、目をぱちくりさせるに近づき・・・・ぐあし!と胸倉をつかむ。

「・・え?」

そのまま土方は、何も言わずにをぽーい、とベンチの裏の林に投げ飛ばした。
頭から林につっこみ、バキバキと小枝の折れる音がする。
銀時も総悟も、遠くでそれを見ていた神楽と新八も、空いた口がふさがらない。


い、イキナリ何ィィィィイィィ??!!


土方の謎の行動はそれだけで収まらなかった。
つかつかと銀時に歩み寄ったかと思ったら、咥えていた煙草を銀時の太ももに押し付けもみ消す。

「熱ゥゥゥゥゥゥ!!!!何このイキナリの理不尽な根性焼きィィイィィ!!!!???」

万事屋3人は訳が分からない。総悟も、いつにもまして訳の分からんマヨネーズみたいな思考してやがる土方め、と思ったが、後から聞こえてきた声にその考えは撤去された。


「誰かと思えば新撰組じゃないか。公務ほったらかしてこんなところで油売ってるとは、いい度胸だなぁ」
「アンタこそこんなところで何してんだァ?一人でふらふら出歩かれちゃぁ護衛付けてる意味ねェんじゃねーのか」

現れたのは、先日の、犬の顔をした天人だった。
大声で土方に食いかかろうとしていた銀時を、総悟は片手で制す。

「ワタシの場合、自分の身くらい自分で守れるからいいんだよ。なァに、ちょっといい匂いがしたものでね」

ふんふんと砂場や滑り台、銀時たちの座っているベンチを嗅いで、その天人は僅かに口角を上げた・・ように見えた。その状態でチッと舌打ちをする。

「この公園に咲いている花のものかねぇ。帰る時にでもぜひ摘んで行こう」
「・・・そうかい」

ワタシはもう帰るよ。そうだ、明日はこのあたりの地域を観光したい、そのように予定を組んでくれ。
そう言い残して犬の天人は去って行った。



完全に気配が消えるまでそれを見送ると、訳も分からず動けない銀時たちをよそに、土方はガサガサと先ほどを投げ飛ばした林に入っていく。
それに続く総悟に、訳も分からず銀時も追いかけた。

「手荒なまねして悪かったな。怪我ねェか」

林の奥で、は体中擦り傷だらけになりながら・・・投げ飛ばされて着地したそのままの体勢で・・・顔を真っ青にして震えていた。
呼吸を押し殺しているのが分かる。大きなくまの上、限界まで開かれた瞳が土方を見上げていた。

「お前、アレが帰るまであんましゃべんな」

更にの目が見開く。
すると総悟が土方の前に出て、ひょいとを抱き上げた。
その場に立たせ、「あーあ、全身傷だらけじゃねーですかぃ」なんて言いながら、ぱっぱっと全身の枯れ葉や小枝の端を払ってやる。
ちらりと後ろを見てから、総悟はの目を見て、ぼそりと言った。


「旦那んトコ行きな」


道を開けられ、ぽんと背中を押される。
ぽろりと涙がこぼれる感触がした。
震える足で一歩を踏み出そうとした瞬間、目の前が真っ暗になる。

銀時がに飛びつき、その腹にを抱きしめたのだ。

「大丈夫?!

腹に抑えつけられながら、こくりとが頷けば、バッ、と銀時は後ろを向いた。


「お前ら何なのォォォォォおおおお!!!!」









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