「駄目アル銀ちゃん!は今日は私と遊ぶアル!」
「いーんや、違うね!は銀さんの膝の上でジャンプを読むんだよ!」
「折角の休みなんだもん、と一緒にいるのはこの私アル!」

「きゅぅーん・・・」
「ちょっとォ!やめてください二人とも」

銀時がの左手、神楽が右手をがっしりともって、の頭上で火花を飛ばす様子を呆れたように一瞥して、新八はため息をついた。
まったく、仕事で外に出てる時は構ってやれないのはも定春も同じなのに。
ああもばかりを可愛がっては定春がぐれてしまう。
そう思ってちらりと定春を見やれば、定春はもの欲しそうな目でをじーっと見つめていた。
その尻尾の先はゆらゆらと小さく揺れている。

「くぅーん・・・」
「お前もちゃんと遊びたいんかいィィィィ!」
「定春ぅぅぅ!テメーは俺達が出てる時もずーっとと一緒だろーが!!」
「まだ足りないか!休日くらい大人しくをこっちに寄越すアル!!」
「わうっわうっ!」

銀時・神楽・の間に飛び込んでいく定春を見送って・・・、新八も、柔らかな苦笑いを零した。

「ちょっと・・・・・もう、僕も混ぜてくださいよう!」







**嫉妬は醜い?そんなばかな**







万事屋の休日。銀時たちがこんなにもにべったりなのには理由があった。
それは一人の男に由来する。

沖田総悟。

第一話から飛んでしまって申し訳ないが、今、万事屋の猫は真選組のドSに大層懐いている。

が初めて万事屋の依頼についてきて総悟と会った次の日・・・・その日も万事屋は依頼もなくぐでーっとしていたのだが・・・・
彼は万事屋にやってきた。
律儀にもコンビニの甘味を買占めて。
そして、世の女性達が見たら砂を吐くだろうと言うほどの見事な「ツンデレ」を披露して見せたのだった。

―― べ、別にアンタのために買ってきたわけじゃないんだからねっ
―― 機嫌直して貰うための貢物とかじゃないんだからっ
―― でも、どうしてもって言うならアンタの歌、聞いてやっても良いんだからね!・・・かっ勘違いしないでよね!

イヤ、別に沖田総悟がこんなキモイことを言ったわけではない。
いつも通りの小憎たらしい、やる気のなーい言葉や、言い方。
しかし、要約すれば上記のような事だ。
そして、はと言えば。

そのツンデレに、とかではなく、
単純にもう一度食べたいと思っていた抹茶チョコを口に放り込まれて機嫌を直し、(もともとそこまで怒ってはなかったのだろう)その歌を披露した。
そしてそしてまた銀時・神楽も、総悟が大人買いしてきた甘味をありがたーく頂いてご機嫌だったため、
「仕事中一人で留守番してるなら、たまに顔出して構ってやっても良いですかィ」
なんて『可愛いお願い』を、『土産付きでな』なんて軽ーい、軽ーい条件付きでOKを出してしまったのだ。
それが、悪夢の始まりだった。

いや、実際彼の手際は驚くほど完璧で、ぶっちゃけ気づいた時にはかなり遅かった。
沖田総悟の取った作戦はこうだ。

まず、最初の一週間は毎日のように顔を出す。
は生まれてこの方実験室生活が多かったため、世の子供たちが遊ぶ、楽しい事、面白い事をほとんど知らない。
剣玉やらコマやら双六やら、玩具を持ってきてに教え、もそれはそれは楽しそうに説明を聞いて一緒に遊んだのだろう。
帰って来た銀時たちに、「教えてもらったの!いっしょにやろー!」
なんて笑顔でよって来た時は、随分と心が和んだものだ・・・・と、最初はそれくらいにしかとらえていなかった。
毎日来てんのかよ、仕事しろよ、くらいしか。

次の一週間は、それが半分になった。
その次はもう半分。
その次は一週間一度も顔を出さなかった。
するとどうなるか。

「次」が待ち遠しくなる。「また」遊んで欲しくなる。
・・・・・悪い男がバカな女を引っ掛ける常套作戦のようなものだ。そして明らかに「わざと」というところが恐ろしい。
先週はついに「携帯電話」なんてハイテクな機械をに与え、遠距離連絡ツールまで確保するという手の込みよう。
なんて恐ろしい。
恐るべし高給取り。自分らの生活や家賃でいっぱいいっぱいの万事屋とは大違いだ。
人の携帯分の月額も払ってやれるなんて!なんて羨ましい。

それからは暇な時はお互いメールのやり取りをしている模様。
銀時たちが万事屋に居る時は暇をしないのであまりメールの光景は見ないが、仕事に行くと、一人になると。
知らない間にいろいろと吹きこまれたらしく、この間なんかは銀時をからかうべく、わざとTVの「心霊現象特集」番組を見計らってぶつけて来やがった。

か、確実に染められてきている・・・!

も総悟もひねくれ者同士、お互い通じ合うものが会ったのだろう。ここまでとは思わなかったが。
この間街かどで会って、噛みつくように文句を言った結果、あの男が言う事には。

『今はまだ旦那みたいに、アレが“何を考えてるか”までは分かりませんが、アレの“性質”はなんとなくわかるんでさァ』
『似た者同士、ってやつですかねィ。アイツ、一人が嫌じゃない癖に、結構構って欲しいタイプだろう』
『・・・・!!?』

そこに付け込んだ携帯電話と言うアイテム、通う回数をランダムにすると言う戦術、
沖田総悟という男を侮っていた!


「な、な、。もし海で神楽と沖田君が溺れてて、どっちかだけ助けられるとしたら、どっち助ける?」
「なんつー質問してんですかアンタ」
「もちろんおねーちゃーん!」
「うああああ!ー!はやっぱり自慢の妹アルー!!」

しんぱちーしんぱちー。
とてとてとが寄って来る。
「皆どうしたの?わたし、なにか悪いことした?そうごと遊ぶの・・・悪い事?」
悪い事なら、わたし、もう遊ばないよ?
けーたいも返すよ?心配そうな顔で見上げて来るの頭を、新八は優しく撫でてやる。

別にはなにも悪い事を強いる訳じゃない。総悟も、の遊び相手になってやってくれているのは有難いし、友達が出来るのはにとってもいい事で、家族である自分達にとっても嬉しい事であるはず・・・・なのだ。
が。
くすり。新八は呆れたように笑った。
そうだ、要は。

「沖田さんに嫉妬してるんだよ。万事屋の皆より沖田さんのことが好きになっちゃったらどうしよう〜って」

うっさいヨいい加減を渡すアル!
なにおう!やんのか!
一緒にジャンプ読むって、結局膝の上に置いた状態で銀ちゃん一人でジャンプ読んでるだけネ!
テメーこそなんだよ、一緒に遊ぶって、なんだよ、一緒にって、一緒って、銀さんも仲間に入れろコノヤロー!
何がしてーんだよお前はァァァァァ!?

銀時と神楽がぎゃいぎゃ言い合っている影で、こっそりとに耳打ちしてやる。
はぱちぱち瞬きをしながらその言葉を聞いて、しばらく黙った後、ぱあっ、と頬を赤らめて目を輝かせた。
・・・・最初のころは何も映さず影の差していた子の瞳も、今ではこうやって自分達が照らしてやれるようになった。
それだけで、十分嬉しい。

「ぎんちゃんっ!おねーちゃんっ!」
「わっっ、どうしたアルか!」
「新八に虐められたのか!かわいそーに!」
「んなことするわけないでしょーが」
「好き好き、だいすき!そうごよりも二人の方が大好きなの!決まってるよ!」
ーーー!!」


―― 嫉妬に駆られた私は、夫を ――!(※総悟と昼ドラ観賞中
『ねー、「しっと」って何?』
『あぁ?嫉妬?そーだなー、募る愛情が時に憎悪と化して人の心を惑わし引き裂く事、かねぇ』
『全然分かんない』
『まー、簡単に言うとアレだ』

相手のことが好きでたまんないってこった。


「ぎんちゃんだいすき!」
・・・・・・・・・・お前、あのヤローにもおんなじこと言ってねーよな?」
「もう銀さんったら、勘くぐりし過ぎですって」

「・・・・・・・・・」

「・・・マジかっ?!」
「・・ふふっ・・!」
「ええええっ?!何、今の作戦?!アイツに教えられたの?!」
「そうごには言わないようー!」
「ほんとに?ほんとに?ヤバイエンドレス疑惑ループ入ってる俺!」
「きゃはははははは!」


「マジ、純粋だったころの帰ってきてェェエ!」


まぁ、そんな叫び声を上げながらも、全員頬は緩んでいるわけで。
・・・今のの言葉が嘘じゃないことくらいは、銀時・神楽・新八ですらはっきりと分かる。


万事屋は今日も騒がしい。








>>next>>

ヘイヘイ、ちょっと早くも出張り過ぎだよ、お兄さん。